化学コミュニケーションのフロンティア

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領域概要

本領域では、「化学コミュニケーションの統合的理解」のパラダイムシフトを目指し、A01-A03の3つの研究項目(班)を設けます。すなわち、化学コミュニケーションの中心を担う生物活性リガンドの探索・同定・機能解析ならびに標的指向型表現型スクリーニングの構築・実証を行うA01(生物間化学シグナルの理解)班、生物間化学コミュニケーションの基盤となる分子間シグナルの理解・制御を目指して論理的創製・物理化学的アプローチを行うA02(分子間シグナルの理解)班、化学コミュニケーションの中心を担う生物活性リガンドの探索・同定・機能予測・機能解析を高感度かつ高効率に展開するためのシステム構築を行うA03(化学シグナルの統合解析法)班を設置します。さらに、これらA01-A03班を有機的に連携させることで、天然物リガンドの真の生物学的意義の解明・革新的機能解析プラットフォームの構築・ケミカルツール分子及び創薬シーズの開発を目指します。

【研究キーワード】
化学コミュニケーション、化学シグナル、分子社会学、天然物化学、生物活性リガンド、ケミカルバイオロジー、ケミカルゲノミクス、化学生態学、ケモインフォマティクス、人工知能、バイオインフォマティクス

A01「生物間化学シグナルの理解」

研究項目A01は、さまざまな独創的な生物現象・表現型スクリーニングに着目し、それらにおける化学コミュニケーションを担う新規天然物リガンドの探索・同定・機能解析などオリジナリティーに溢れる研究を展開します。各計画班員は、微生物二次代謝産物、植物・キノコ・変形菌代謝産物等の二次代謝産物、海洋生物代謝産物等の探索研究・精密構造解析研究、さらにはバイオインフォマティクスを駆使した統合オミクス解析研究に優れた実績を有するエキスパートであり、既に構造多様性に富んだ多くの新規天然物リガンドを保有しています。いずれの研究もA02/A03班との連携(分子設計シーズの提供/化学コミュニケーション分子の入力等)による天然物リガンドの探索・同定・機能予測・機能解析を遂行し、天然物リガンドの供給、詳細な構造活性相関研究による天然物リガンドを凌駕する生物活性リガンドの開発を行います。

A02「分子間シグナルの理解」

研究項目A02は、生物間化学コミュニケーションの基盤となる分子間シグナルの理解を目指して、化学コミュニケーションを司る天然物リガンドの標的因子(タンパク質、生体物質等)との相互作用解析をA01/03班と連携し行います。また、取得した相互作用情報等をもとにした論理的戦略を活用し、分子間シグナルを高度に制御可能な生物活性リガンドの創製を行います。精密有機合成化学を専門とする研究代表者/研究分担者を配置し、天然物リガンドを凌駕する生物活性リガンドの開発を目指し、A01/03班と共同して(分子の提供/化学コミュニケーション分子の入力等)、これら生物活性リガンドの化学シグナルの解析に挑みます。

A03「化学シグナルの統合解析法」

研究項目A03は、A01/A02班において発見された天然物リガンドおよび創製された生物活性リガンドの機能予測・実証及び機能解析を行うための革新的プラットフォームの構築・高度化をバイオイメージング・インフォマティクス・ケミカルゲノミクス・ケミカルプロテオミクス等を機軸として展開します。A01/A02班によって行われる天然物リガンドから生物活性リガンドへ高次機能化する過程では、膨大な構造活性相関データの人工知能(AI)による情報論的解析・予測、ならびに革新的in silico解析、すなわち、A03班からA01A02班へのコミュニケーション情報のフィードバックが重要な役割を果たします。