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全体計画

本事業の大学全体としての位置付け

 薬学に対する社会的期待・要請は創薬から医療領域まで多岐にわたり、わが国の薬学教育・研究を代表する本学薬学研究科に対しては、先端的薬学教育を推進して創薬・薬物治療の発展を先導する人材、研究者を輩出することが強く求められている。本教育・研究者養成プログラムは、21世紀COEプログラム「ゲノム科学の知的情報基盤・研究拠点形成」で推進してきた薬学領域における情報科学基盤教育をさらに充実させ、バイオインフォマティクスやケモインフォマティクスを統合するファーマコインフォマティクスを基盤とした創薬研究・教育を推進するものである。複数の研究分野が連携・融合した本研究プロジェクトを大学院製に立案・実行させるプログラムを推進することにより将来、研究者として自立するためのインセンティブを与え、社会的ニーズにマッチした新世代の創薬研究を養成する教育改革として位置付けられる。

これまでの教育研究活動の状況

 本薬学研究科では、多様かつ調和のとれた教育体系のもと卓越した知の継承と創造的精神の涵養に努め、社会の調和ある発展に貢献できる優れた研究能力や医療人としての高度の専門知識を持つ人材を育成するという基本目標を達成するため、創薬・医療連携薬学コア部門を新設し、“創薬”、“医療”という従来の二分化した縦型の薬学教育・研究の枠組みを克服し、創薬科学と医療科学の連携による基礎と医療・臨床をインテグレートした新しい薬学教育システムの構築を図ってきた。また、最近の科学技術の急速な発展に呼応し、バイオインフォマティクス、ファーマコゲノミクス、ゲノム・プロテオーム・メタボローム創薬などの新しい創薬研究手法や、分子標的医薬、遺伝子治療、移植医療、テーラーメード医療などの革新的医療の研究・教育の場への導入に計画的に取り組んできた。しかし、こうした非常に幅広くまた高度に専門化した科学教育を実施するには、現状のオーソドックスな専門教育システムは領域の有機的結合に基づく研究の深化や施策の機動性に欠けきわめて不十分であるため、次世代の発展へのステップとして新しい発想に基づくプロジェクト展開が不可欠である。

魅力ある大学院教育への取組・計画

 近年、生命科学と化学の急速な進展に伴い、それらの融合領域である創薬科学にパラダイムシフトが産まれつつある。すなわち、バイオインフォマティクス、ケモインフォマティクス等の情報科学を基盤として、創薬標的の探索やシード化合物の最適化に活用するゲノム創薬に大きな期待が寄せられている。しかしながら、生命科学、化学、情報科学に精通した創薬研究者の養成に従来の大学院カリキュラムでは十分対応できていない現状である。また、実際の創薬は広範で高度に専門化した領域からなる融合学際領域であるため、従来のオーソドックスな創薬のための単一研究室のみで完結する専門教育体制では、社会ニーズにマッチする創薬研究者の養成が困難で、横断的教育システムの必要性が痛感されている。


 当教育プログラムでは、これまで21世紀COEプログラムで推進してきた基礎バイオインフォマティクス教育を発展させてゲノム創薬を軸に高度化した大学院カリキュラムを創成するとともに、創薬研究プロセスに即して組織化した複数の研究室からなるプロジェクトチームを編成し、異なる専攻の教員が共同で大学院生の研究テーマを指導する横断的研究教育体制を確立、実践するための『ゲノム創薬コース』、「ケミカルバイオロジーコース」、「ファーマコゲノミクスコース」の3つの融合コースを創設する。これにより、社会の即戦力となるゲノム創薬の実践的研究者・技術者・教育指導者、情報科学との融合により新たな研究開発領域を切り拓く創薬研究者、さらにはテーラーメード薬物治療などの高度医療や医療情報化に対応できる医療・行政従事者を育成し、大学、各種研究機関、創薬関連産業、行政機関、医療機関に輩出する。

 
 
 
 
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