研究科長・学部長からのメッセージ

薬学研究科長・薬学部長  竹本 佳司

 

京都大学薬学部は、1939年に医学部薬学科として新設され、1960年に薬学部として独立しました。
その後、1997年の大学院重点化により大学院薬学研究科が誕生し、2022年4月1日より、新設した創発医薬科学専攻(5年一貫制博士課程)に、薬科学専攻(修士・博士後期課程)と薬学専攻(4年制博士課程)を加えた3専攻からなる大学院に生まれ変わりました。また学部には4年制薬科学科と6年制薬学科を併置し、創薬研究を志す研究者と育薬研究を志す高度薬剤師をそれぞれ養成します。当初は入学時学科別試験を採用していましたが、一般入試を一括募集に改め専門科目履修後の4年進級時に大学院進学を踏まえた学科選択が可能となりました。
京都大学は研究志向の大学です。薬学研究科は医薬生命科学研究をリードする部局として、創薬と育薬を志す創造性豊かな研究者を育成する責務があります。本研究科の大学院修了生の多くは、大学・国公立研究所の教員や研究者として独創的な基礎研究を展開することで世界を牽引し、また製薬をはじめ関連企業の研究者として世界の第一線で活躍しています。一方、4年制博士課程で学位を取得する大学院生は全国的に少ないため、医療現場の様々な課題を研究で解決できる二刀流博士薬剤師として期待されており、大学病院の高度医療や医療行政を担っています。
2020年初頭から続く約2年間のコロナ禍で私たちの生活環境は大きく変貌しました。しかし、悪いことばかりでないことにも気付かされました。身近なところでは、RNAワクチンや抗ウイルス薬という専門用語が市民権を得ることで、新薬開発や創薬研究の社会的意義と重要性を多くの国民と共有できるようになりました。我々は、このような社会要請に応えるために今まで以上に地道に基礎研究を推し進めてゆく必要があると考えます。薬学研究科には50名を超える個性あふれる研究者が在籍しており、分子科学から生命科学に関わる様々な研究課題を基礎から応用まで一気通貫で取り組んでいます。創造性の根源は知的好奇心と探求心であり、これまでの薬学研究科の伝統を確実に未来に繋ぎ、新たな知的価値の創出と豊かな人材の養成によって、人類社会の健康と福祉に貢献する所存です。