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 私たちは、プロスタグランジン受容体という分子を題材として、生体の巧みな調節機構を研究しています。
アスピリンが標的とするプロスタグランジンやトロンボキサンには、全部で8種類の受容体が存在します。なかでも、プロスタグランジンE2(PGE2)には4種類の受容体が存在しており、私たちは、これら4種類のPGE受容体について、(1)その構造と機能の相関、(2)個体での役割の解明を目指しています。生体を用いた研究では、生殖生理と内分泌、免疫と脳機能に重点をおいています。プロスタグランジンは、生体内の局所ごとに異なる作用を発揮しますが、受容体に結合した後、どのように作用(例えば炎症惹起)が発揮されるのか、その分子機構はあまり知られていません。私たちはこの点を明らかにするため、局所におけるさまざまな遺伝子の時空間的な発現変動をとらえ、受容体欠損の影響を体系的に調べています。細胞ごとの遺伝子発現ネットワークを体系的に理解することで、プロスタグランジン作用の分子機構が見えてくるのです。
 21世紀の薬学のタスクは、ゲノム情報に基づいた新たな創薬標的の探索であり、困難ではありますが冒険心に満ちた仕事です。私たちが目指しているのは、自分たちの研究を通して、生物学の本質的な問題を解くと同時に、その成果に基づき新たな標的分子を提示し、疾患の予防・治療に役立てることです。ヤナギの樹皮からアスピリンが生まれましたが、プロスタグランジン受容体を軸としたシステムバイオロジーの解析から、アスピリンを超えるような治療薬の創成を夢見て、研究をすすめています。

 

研究内容 プロフィール 業績集