(2007年9月改訂、中山和久)

1.研究テーマの選択(最も重要!)

(1) 自分の興味(自分がやりがいを感じることができること)

(2) 関連分野の研究をよく調べ、どのようなことが解っていないのかについて検討する(=novelty)。

(3) 研究材料として何を用いるのが適切かを考える。

(4) 自分(研究室)で持っている技術で、計画した実験を遂行できるかどうかを考える(共同研究の必要性の有無)。

(5) 新しい技術、実験系の開発(自分達に独特な系を持つことは、他の研究者の追随を許さない。=originality)

(6) 時にはバクチ実験も必要。

(7) たとえ他人が既に研究していることが判っていたとしても、 本当に興味深い研究ならば敢えて中央突破して遂行しなければならない時もある。

 

2.研究の進め方

(1) 実験に用いる技術、方法の原理をよく理解する。特にキット等を用いる際には原報のMethodsをよく調べる。初期の論文には実験方法のノウハウが書かれていることが多い!)

(2) ある程度、出てくる結果を前もって予測する。

(3) 実験を行う前にフローチャートを書き、実験の目的と流れを把握する。

(4) 記録(ノート)を後で他人が見ても解るようにきちんと整理してつける(今後研究していく上での自分の財産である!特に、失敗した時や予想に反するデータが出た時は、自分なりにその理由を考察する。予想に反するデータから新しい発見が生まれることは多い。解らない時は先生や先輩に相談する。わらないことを恥じる必要は全くない!聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥)

(5) 常に論文としてまとめることを意識し、良い雑誌に投稿するためにはどのようなデータが必要かを考えながら研究を進める。

(6) 研究の好不調の波をいかにして乗り切るか。良いデータが出ない時、あるいはcompetitionに負けた時の引き際(テーマ換え)。

 

3.論文の読み方

(1) 関連分野の論文がよく掲載される雑誌は、全巻全号フォローする(E-mail Alertsを利用し、タイトルを見て面白そうな論文は少なくともアブストラクトを読むこと!)。                                              

(2) Pub Medで定期的にキーワードを入力して調べる。                                    

(3) 読みやすい英文や和文の総説は、関連がなくてもできるだけ読む(研究の視野を広げるために必要!自分今やっている研究分野を一生続ける訳ではない)。                                                      

(4) 読んだ論文は項目別にまとめ、きちんと整理して保存しておく(End Noteの利用。今後研究していく上での自分の財産である!)。

 

4.セミナー・研究成果発表

(1) 論文紹介をする人は、できるだけ関連論文をフォローし、その分野に精通しておき、どんな質問にも対応できるようにする(これが自分のためにもなる)。

(2) 仕事の紹介の際には、まず実験の目的、原理を説明する。また、細かい実験方法を説明し、失敗した時は必ずそのデータを載せる。

(3) 聞き手は、どんな些細なことでも解らないことは質問する(解らないことを恥じる必要は全くない!)。

(4) 質問に答える場合に、「はい」か「いいえ」で答えられる質問に関しては、まず「はい」か「いいえ」を言ってから、その理由を後で述べる。

(5) データの解釈やその解釈の根拠に関する質問の場合には、自分の意見なのか、それとも一般論や他の人の考えなのかがわかるように回答する。わからない場合に曖昧な答えをするのが最も良くない。「間違っているかもしれませんが....」と前置きしてでも、自分の意見をはっきりと述べる。

(6) セミナーノートは必ず整理して保存しておく。

(7) とにかく、セミナーを聞いた人が「時間を損した!」と思わないようにすること。

(8) 成果の発表をする際に、自分の研究内容を理解してもらうためには、まず聞いている人が誰かを考えて、話し方を変えなければならない。たとえば、相手が一般の人か、学部生か、大学院生か、先生かによって話し方は異なるはずです。

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