薬物依存とグリア型グルタミン酸トランスポーター

 モルヒネ、覚醒剤、コカインなどのいわゆる依存性薬物による依存形成にはグルタミン酸神経系が重要な役割を果たしていることが知られていますが、細胞外のグルタミン酸の取り込みを行うグルタミン酸トランスポーター、特にグリア細胞に多く発現するタイプのGLT-1が関与することを明らかにしました。この成果は、薬物依存という神経可塑的変化が基盤となる現象に、グリア細胞が何らかの役割を果たしていることを示す重要な知見となります。


モルヒネ依存時に一部の脳部位においてGLT-1発現量減少

 Brain Res., 905, 254-258 (2001)

グルタミン酸トランスポーター活性化薬によりモルヒネ身体およびモルヒネ、メタンフェタミン、コカインによる精神依存減弱

 Eur. J. Pharmacol., 419, 39-45 (2001)
 Behav. Brain Res., 156, 233-239 (2004)

グルタミン酸トランスポーター阻害薬によりモルヒネ禁断症状および精神依存が増悪。また、メタンフェタミンによる行動感作の発現、側坐核におけるグルタミン酸遊離量が増加

 Eur. J. Pharmacol., 485, 201-210 (2004)
 J. Pharmacol. Sci., 99, 415-418 (2005)

青斑核へのGLT-1遺伝子導入によりモルヒネ身体依存減弱

 Eur. J. Neurosci., 19, 221-226 (2004)

側坐核へのGLT-1遺伝子導入によりモルヒネおよびメタンフェタミンの精神依存減弱

 Eur. J. Neurosci., 22, 2744-2754 (2005)

Copyright (C) 2004 Takayuki Nakagawa, Ph.D., Kyoto University