脊髄および脳内におけるATP受容体の痛みへの関与
ATPは生体におけるエネルギー源として利用されるだけでなく、ATP受容体(P2プリン受容体)を介して、細胞間における情報伝達物質としての役割も果たしています。その生理的な役割には様々なものがありますが、特に痛みの発生および調節における役割が注目を集めています。これまでATPの痛みに関する研究は末梢レベルでのものが多かったのですが、私たちは脊髄レベル、さらには脳内におけるP2プリン受容体の痛みの役割を研究し、その役割は部位や受容体サブタイプにより異なったものであることをつきとめました。また最近、脊髄レベルでのATPによる痛みの発生が非常に長期間持続するものであることを発見し(少なくとも1週間以上)、そのような神経可塑的変化の要因にグリア細胞が関与しているのではないかと考えています。