第 70 回 JSICR 学術集会会長をお引き受けして
京都大学生命科学研究科・ウイルス研究所 米原 伸


  来年に開催される第 70 回の学術集会の会長を務めるよう仰せつかりました。皆さんのご期待にどれだけ添うことができるか分かりませんが、私なりに力を尽くして学術集会を成功させるよう努力したいと考えていますので、皆さんの御協力をよろしくお願いします。

 私は 1975 年に京都大学ウイルス研究所の川出由巳先生の研究室に修士課程の学生として入学し、本学会の前身である「インターフェロン研究会」と関わりを持つようになりました。大学院生の時には、フロアから諸先生方に生意気な質問をしても許していただいたことを覚えています。川出研究室では、当時助手であった岩倉洋一郎博士(現 JSICR 会長)とマウス L 細胞の大量培養と IFN の産生、そして精製に従事しました。そして、東レ株式会社におられた故小林茂保博士が東京都臨床医学総合研究所に開かれた研究室に参加しました。そこでは、小林博士の意向とは異なったプロジェクトではありましたがヒト IFN- αの精製を行い、精製 IFN を用いたレセプターの解析を行いました。そして、 IFN レセプターの研究の中から細胞死を誘導する抗 Fas mAb を見いだし、アポトーシス誘導レセプター Fas の発見につながったわけです。抗 Fas 抗体を初めて発表した学会は、研究会であった時代の本学会でした。そのような時代に(確か 1988 年頃だと思います)、「インターフェロン研究会」の世話人をさせていただきました。若輩者で、何がなんだか分からないまま研究会を開催しましたが、日本でサイトカインレセプターの実体が次々と明らかになる現状を反映するシンポジウムを開催できたこと、懇親会の席上で故小林茂保博士から無事研究会を開催できたことをほめていただく挨拶をしていただいたこと等、懐かしい思い出です。

 そして、このたびは2度目のお世話をさせていただくことになりました。私なりの思いを込めて、学術集会を開催したいと考えています。学術集会運営委員として、宇野賀津子博士、岡村春樹博士、喜多正和博士、宗川吉汪博士、中西憲司博士、西口修平博士、横山裕彰博士、義江修博士に参加していただき、色々と相談をして、下記のように開催する予定をたてました。

 日時: 2005 年 7 月 20 日(水) 21 日(木)

 場所:京都大学芝蘭会館稲森ホール

 特別講演を企画しました。来年は IFN がクローニングされて 25 年の節目の年ですが、 IFN のクローニングはその後のサイトカイン研究発展の先駆けであり、日本の生命科学研究の進む一つの方向を定めることになったと私は考えています。そこで、 IFN- βをクローニングされた谷口維紹博士と、 IFN- αをクローニングされた長田重一博士に、「インターフェロンのクローニングから 25 年」と題して、インターフェロンのクローニングという歴史的な話から、現在の研究にいたる流れ、そして現在の研究について講演をしていただく予定です。

 また、シンポジウムは開催せず、一般演題を有機的に連動させたワークショップを開催します。ワークショップでは世話人が選んだ招待講演( 15 ? 30 分/演題)、そのテーマに関連した一般演題の口頭発表( 5 ? 15 分/演題)を行います。ワークショップは下記の7つを予定しています。

◎自然免疫とインターフェロン・サイトカイン(世話人:藤田尚志)

◎生体制御とケモカイン・サイトカイン(世話人:義江修)

◎インターフェロン療法(他のサイトカインも含む):臨床から(世話人:西口修平)

◎インターフェロン療法(他のサイトカインも含む):基礎から(世話人:宇野賀津子)

◎細胞の運命決定とサイトカイン(世話人:米原 伸)

◎炎症とインターフェロン・サイトカイン(世話人:中西憲司)

◎感染症とインターフェロン・サイトカイン(世話人:喜多正和) 

 一方、一般演題はワークショップで発表するしないに関わらず、ポスターの発表を行っていただきます。また、時間の許す限り、一般演題の口頭発表も実施したいと考えています。

 このような形式で来年の学術集会を開催する予定です。皆さんの積極的な参加と発表をお願いします。来年、京都でお会いしましょう!