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ペルキオシソーム膜タンパク質(PMP)ペルキオシソームへの輸送には、ペルキオシン(通称Pex)タンパク質群のうち、Pex19p と Pex3p とが関与している。Pex19p は PMP 専用のシャペロンあるいは輸送キャリアであり、Pex3p は PMP-Pex19p 複合体の受容体であると考えられている。すなわち、PMP がペルキオシソーム選択的に輸送されるメカニズムには PMP-Pex19p、Pex19p-Pex3p の分子認識機構が重要な役割をしているものと考えられる。したがって、これらの詳細を明らかにするために、まず PMP、Pex19p、Pex3p の精製タンパク質を用いて、相互の結合のメカニズムを理解することが必要である。 PMP(ペルオキシソーム膜タンパク質)輸送機構モデル 目的申請者は、これまでの研究で、ヒト Pex3p の細胞質露出領域の大量発現、及び精製法を確立した。さらに、これを用いて Pex3p が Pex19p のN末端側半分の領域に結合することを明らかにした。Pex19p は PMP と Pex3p とで結合部分を使い分けていることが示唆されている。しかし、その詳細な結合領域の区分、及び PMP と Pex3p それぞれに対する結合の強さは不明である。本研究では、 Pex19p とその部位欠失変異体を用いて、PMP、Pex3p それぞれに対する結合の結合解離の特徴を調べることにより三者の相互作用様式の解明を目指す。 方法
これまでに Pex3p は Pex19p のN末端側半分の領域に結合されることが明らかとなっている。そこでさらに詳細な結合領域の検討を行う。Pex19p の部位欠失変異体と Pex3p との結合解離の特徴を蛍光測定法やSPR法(表面プラズモン共鳴解析法)によって解明する。 遺伝子レベルの研究から、Pex19p と PMP との結合に必要なそれぞれの領域は推測されているものの、その直接の結合の詳細は明らかになっていない。本研究では PMP モデルペプチドや無細胞合成法によって調整した数種類の PMP を用いて Pex19p の部位欠失変異体との統合機能の検討を行う。また、Pichia pastoris を用いて発現精製した PMP22 を用いて、Pex19p との結合性を調べる。 【Pex3p細胞質側部分(34-373)発現精製法】
【Pex3p(34-373)-Pex19p結合の蛍光強度変化測定による検出】 【Pex19pの結合によるPex3p(34-373)の蛍光スペクトル変化】 【界面活性剤がPex3p(34-373) - Pex19p 間結合に及ぼす影響】
【塩濃度がPex3p(34-373) - Pex19p 間結合に及ぼす影響】
【Pex3p(34-373)変異体とPex19pの結合実験】 まとめ本研究では Pex3p の W104A 変異体は、Pex19p との結合力が弱くなることを明らかにした。また、Pex3p と Pex19p との結合には、Pex3p の W104 の側鎖が関与することが示唆された。 本研究で得られた W104A 変異体は Pex19p との結合能を持たない、Pex3p のモデルとして利用できると考えられる。今後、これを用いた細胞生物学実験を行い、
を検討する予定である。 期待される成果Pex19p が様々な PMP や Pex3p と結合するメカニズムの解明は PMP 輸送系を明らかにする上で、重要であると考えられている。Pex19p の結合相手に応じた領域の使い分けや、親和力のデータはそれを理解するための基礎的情報になるものと期待される。次年度以降は、これらの結果を基に構造生物学的なアプローチによって分子認識機構の構造基盤の解明が行なえるものと期待される。 |
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