(2007年9月改訂、中山和久)

1. 全世界のバイオの力を総結集して世界の富を全部集めても、大腸菌一つもとからは作れない。これは厳然たる事実で、なぜできないのかといえ  ば、「大腸菌様」がなぜ生きているのかが、科学的に分からないからです。まして、人間がどうして生きているかは、私は99パーセント分からないと思う。(中略)しかし、それは神というよりも、サムシング・グレートとしか言いようがない。

(解説:筑波大学時代の恩師M先生の著書からの引用。生きていることって本当に不思議です。生命科学の研究者としては生きていることの本質に少しでも迫りたいものです。でもそこにたどり着くのは長い道のりです。)

2. ライフサイエンスに絶対はない

(解説:生きていることはファジーです。簡単には割り切れない生命現象はたくさんあるでしょうし、まったく予想もつかないようなことが起こっているのかもしれません。)

3. 種の無いところに木は生えぬ

(解説:どんな天才でも、何もないところから新たな発想をすることはできません。普段勉強して得た基礎知識をもとにして、新たな発想が生まれます。)

4. アンテナは大きいほど良い

(解説:自分のやっている狭い研究分野だけにとらわれることなく、いろんなことを勉強しましょう。バックグラウンドが広ければ広いほど、柔軟な発想が生まれてきま す。それに、今やっている研究を一生続ける訳ではありません。いろんなことに興味を持ちましょう。)

5. 中原をめざす

(解説:研究をする際には、枝葉のことにはあまりとらわれずに、まずはその現象の本質を見極めましょう。)

6. 「100打ったうちの1つ当たりゃ 一流の研究者や! 10打ったうちの1つ当たりゃ 超一流の研究者や!!」

(解説:大学院生時代にN先生から何度も聞いた言葉。研究は試行錯誤の連続です。失敗にめげてはいけません。)

7. 嘘からでた真

(解説:実験をやって予想通りの結果が得られることは少ないですが、失敗したと思った予想外の結果のなかに真実が隠されているかもしれません。失敗だと思った実験 のデータをゴミ箱に捨てることなく、ちゃんと記録に残しておきましょう。)

8. 1日10歩 3日で30歩 30歩進んで 20歩下がる

(解説:実験がうまくいかない時には、もう一度元に戻って良く考えてみましょう。何かヒントが思い浮かぶかもしれません。)

9. 棚から落ちたボタ餅を確実に拾う

(解説:セレンディピティー serendipity を確実にものにするのも研究者としての大切な資質です。)

10. ピペットマン持っては日本一の 夢も大きなサイエンティスト 世界を相手に勇気を持って 中央突破を試みる 頑張れ! 強いぞ! 僕らの仲間 京大.....

(解説:研究をやっていると、海外の研究室との競争になることはしばしばです。毎日がオリンピックみたいなものです。昔懐かしいアニメの主題歌のメロディーに乗ってこの歌を口ずさみ、真っ向勝負を挑みましょう。)

11. 先生の背中 先輩の背中

(解説:先生や先輩から見習う点は多いものです。もちろん、見習わない方が良いこともありますが....)

12. 何は友あれ

(解説:研究仲間は将来にわたって大切な存在です。コンビニ弁当を一人で食べるだけではなく、仲間と一緒にメシを食ったり酒を飲んだりしながら、研究のことや将来のことやくだらない世間話に花を咲かせましょう。将来、きっと自分の財産になるはずです。)

13. 聞くは一時の恥、聞かぬは一生(末代)の恥

(解説:知らないことを恥じる必要はまったくありません。先生や先輩にドシドシ質問して自分の糧としましょう。質問せずにずっと知らないままでいることほど損なことはありません。聞く勇気を持ちましょう。)

14. 僕はここにいる

(解説:研究をやっていく上で自己満足できるかどうかが最も重要ですが、他己満足(他人からの評価)が得られなければ研究を継続できません。自分の存在をどのぐらいアピールできるかはとっても大切です。自分の研究内容を人にわかりやすく伝えましょう。)

15. 古い船をいま動かせるのは 古い水夫じゃないだろう

(解説:フォーク少年だった頃によく聴いたよしだたくろうの「イメージの詩」の一節。人それぞれに感じ方は違うと思いますが、何となく意味は伝わるでしょう。)

16. もう一息

  もう一息と言ふ処でくたばつては
  何事もものにならない。

  もう一息
  それにうちかつてもう一息
  それにも打ち克つて
  もう一息。

  もう一息
  もうだめだ
  それをもう一息
  勝利は大変だ
  だがもう一息。

(武者小路実篤『もう一息』解説:掛谷秀昭先生のシンポジウムでの発表の最後のスライドで、とっても印象的でした。)

 

 

 

 

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