セミナーのご案内

下記の通り、セミナーを開催いたしますので、奮ってご参集ください。


演題 : ショウジョウバエモデルを用いた癌遺伝子Mycによる“細胞競合”(cell competition)の分子機構の解明
講師: 松田七美 博士(米国・コロンビア大学・医学部 (Prof. Laura A. Johnston研究室))
開催日時:2007年7月4日(水) 17:30 〜 18:15
場所 : 薬学研究科 南北棟3階セミナー室(321)
連絡先 : 黒田、掛谷(内線4524, システムケモセラピー・制御分子学分野)

(発表概要)  発生において一定の大きさと機能をもつ器官が形成される過程において、異なる機能をもつ様々な種類の細胞のそれぞれの運命が、細胞の増殖、周期、生存のレベルで厳密にコントロールされる現象は、細胞競合(cell competition)と定義される。細胞競合は、種を超えて保存され、ヒトにおいてもあらゆる生命現象、例えば、器官形成、癌などの疾患の発症機構などに関与すると考えられるが、その分子機構は不明である。  
 最近、我々は、癌遺伝子Mycの細胞競合関連因子としての新しい役割について、ショウジョウバエ翅原基のモデルを用いて世界に先駆け報告した(de la Cova et al, 2004)。器官形成の過程において、ショウジョウバエMyc(dMyc)が発現量の違いによって、‘増殖、生存させる細胞’と‘排除される細胞’とを厳密にコントロールする(すなわち、高dMyc細胞は、低dMyc細胞に対して競合し、増殖、生存において顕著に高い優位性を示し、低dMyc細胞は細胞死により排除される)ことにより、器官の大きさと機能を制御する。
細胞競合の複雑な制御機構を理解するためには、in vivoモデル系から得られる情報をよりシンプルな系で再現し、解析する必要がある。そこで本研究では、細胞競合のin vitroモデル系の確立を目指し、ショウジョウバエ培養細胞系において様々な発現レベルでdMycを強制発現誘導することが可能な細胞株を樹立し、これらの細胞株を用いて、共培養技術を応用した解析系の開発を試みた。本セミナーにおいて、ショウジョウバエのin vivoモデルを用いた細胞競合のメカニズム解析やin vitroモデル系の開発と解析について紹介する。