研究内容

研究目的 “薬物治療学からからだの不思議を解き明かす“

 当病態情報薬学分野は、疾病治療のために生体に投与される「モノ」としての“くすり“と投与される側の”生体(からだ)“との関わりを、生物薬剤学、薬物動態学、ドラッグデリバリーシステムなどの学問的バックグランドに基づき、研究領域の枠に囚われることなく学際的な視点から追求し、“薬物投与の最適化”を通じて理想的な薬物治療を実現させることを目的に研究活動を行っている。こうした実学、応用科学としての薬学において薬物治療に直接的な貢献をすることに加え、一連の研究において投与の最適化を阻もうとする生体の機構を解析することにより、最終的には“からだの不思議”を解き明かすことを目指す。

 現在、研究室において進行中の研究テーマは以下のとおりである。





主な研究内容

  1. 遺伝子治療・DNAワクチン療法の最適化を目指した核酸医薬品開発
  2. 核酸ナノデバイス・ハイドロゲルの開発
  3. Exosomeを利用した疾患治療システムの開発
  4. 高機能細胞治療システムの開発



1)遺伝子治療・DNAワクチン療法の最適化を目指した核酸医薬品開発

遺伝子治療やDNAワクチン療法の実現には、遺伝子産物であるタンパク質の体内動態制御が必要です。インターフェロン遺伝子を利用した検討では、長期発現が可能なプラスミドの開発に成功し、これが癌やアトピー性皮膚炎治療に有効であることを実証しました。また、構造改変型タンパク質を設計し、遺伝子導入・発現後のタンパク質体内動態制御による治療効果増強・副作用軽減にも取り組んでいます




2)核酸ナノデバイス・ハイドロゲルの開発

CpGモチーフを含むDNAは、TLR9を介してサイトカイン産生を誘導することから、癌や自己免疫疾患、アレルギー疾患などに対する治療薬としての応用が期待されます。我々は、相補鎖と2重鎖を形成する核酸の機能を巧みに利用することで、天然には存在しないユニークな構造を有する多足型構造核酸(polypodna)を構築することに成功しました。これは、中心から複数の足(pod)が突き出る形の分岐型DNAであり、このような構造体とすることでCpGモチーフの免疫活性を飛躍的に増強できることを明らかにしています。さらにこのpolypodnaを連結することで、DNAデンドリマーやDNAハイドロゲルの調製にも成功しました。DNAハイドロゲルは内包した薬物を徐放できることから、現在、薬物・免疫治療システムとしての開発に取り組んでいます。


3)Exosomeを利用した疾患治療システムの開発

Exosome(エキソソームあるいはエクソソーム)は、細胞から分泌される粒子径100 nm前後の、脂質二重膜から形成される小胞です。Exosomeはタンパク質やDNA・RNAの内因性のデリバリーキャリアとして働くことから、これらの分子のデリバリーシステムとなることが期待されています。我々は、exosomeを利用したデリバリーシステムの開発を目的としてexosomeの体内動態解析法の構築と、それを利用した体内動態制御法の開発に取り組んでいます。これまでに、exosomeの高感度標識法の開発により体内でのexosomeの可視化に成功するとともに、exosomeの体内動態がマクロファージにより大きな影響を受けることを見出しています。




4)高機能細胞治療システムの開発

近年、人工多能性幹細胞を始めとする様々な細胞を分化・培養する技術が進歩したことを受け、細胞を投与することによる疾患治療が期待されています。我々は、次世代治療に利用可能な高機能細胞治療システムの開発に向けて検討を進めています。投与細胞の生体内での残存性向上を目的とした検討においては、合成小分子細胞接着分子を利用することで、移植細胞の生存期間を延長し、皮膚損傷の治癒促進に成功しました。また、マイクロウェルを利用した細胞スフェロイド作製技術を確立し、移植細胞機能の向上を実現するとともに、インスリン産生細胞スフェロイドが糖尿病モデルマウスの治療に有効であることを見出しています。































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Last update : 17/October/2019

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