Research

Bioorganic synthesis of a recombinant HIV-1 fusion inhibitor, SC35EK, with an N-terminal pyroglutamate capping group.

抗HIV-1活性を有するSC35EKを、大腸菌を用いて組換えタンパク質として発現させた後、臭化シアンを用いた切り出し反応を行い、N末端にパイログルタミン酸、C末端にホモセ リンラクトンを有するpGlu-SC35EK-Hslを取得しました。このpGlu-SC35EK-Hslは、親ペプチドと同様のコンフォメーションと生物活性を有し、さらに両末端を化学修飾することで、血清中での安定性が向 上しました。[PubMed]
Bioorg. Med. Chem. 17(23) 7964-7970 (2009)

Bioorganic synthesis of end-capped anti-HIV peptides by simultaneous cyanocysteine-mediated cleavages of recombinant proteins.

HIV膜融合阻害剤SC34EKは、溶媒接触面へのαヘリックス誘起モチーフの導入により高い抗HIV活性を示す34残基からなるペプチドです。我々は、大腸菌 による組換えタンパク質の発現とタンパク質中のCys残基の修飾・切断反応により、活性ペプチド配列の両末端に生体内での安定性に寄与する官能基を導入したSC34EK 誘導体を得る方法を確立しました。[PubMed]
Bioorg. Med. Chem.17(21) 7487-7492 (2009)

Construction of nitrogen heterocycles bearing an aminomethyl group by copper-catalyzed domino three-component coupling-cyclization.

最近我々は、Cu(I)触媒による2-エチニルアニリン誘導体、パラホルムアルデヒド、及び二級アミンの三成分反応を用いた2-(アミノメチル)インドール骨格構築法を報告しました。本法に基づいて詳細な検 討を行った結果、様々なアルデヒドに適用可能であることが明らかとなり、calindolの効率的に合成するツールとしても有用であることを示しました。また、同様な三成分カップリング–環化反応を用いることによ り、アミノメチル基を有するbenzo[e][1,2]thiazine骨格やインデン骨格も容易に構築できることを見出しました。[PubMed]
J. Org. Chem. 74(18) 7052-7058 (2009)

Ring-Construction/Stereoselective Functionalization Cascade: Total Synthesis of Pachastrissamine (Jaspine B) through Palladium-Catalyzed Bis-cyclization of Bromoallenes.

Pachastrissamineは沖縄近海に生息する海綿動物Pachastrissa sp.より抽出された天然物であり、様々な癌細胞株に対して細胞毒性を示すことが知られています。今回我々は、パラジウム触媒によるブ ロモアレンの連続環化反応を鍵反応としたpachastrissamineの全合成を計画しました。市販のGarner’s aldehyde 1から5工程で合成したブロモアレン2に対して、パラジウム触媒を用いた連続環化反応を行 うことで、pachastrissamineの中心骨格である官能基化されたテトラヒドロフラン環を良好な収率で構築することに成功しました。さらに官能基変換によりpachastrissamineの全合成 を達成しました。[PubMed]
Org. Lett. 11(19) 4478-4481 (2009)

X-ray crystallographic study of an HIV-1fusion inhibitor with the gp41 S138A substitution.

HIV-1 gp41由来のHIV膜融合阻害剤のSer138のAlaへの置換は、ウイルスのN-HRへの結合親和性を向上することにより抗HIV活性を高めることが知られてい ます。我々は、X線結晶構造解析と自由エネルギー計算により、138位のアミノ酸側鎖の脱溶媒和に関わるエネルギーの差異が、N-HRとC-HR複合体の安定性の違いに寄与し ていることを明らかにしました。[PubMed]
J. Mol. Biol. 392(3) 657-665 (2009)

Rapid access to 3-(aminomethyl)isoquinoline-fused polycyclic compounds by copper-catalyzed four-component coupling, cascade cyclization, and oxidation.

イソキノリン縮環型多環式化合物は、抗癌活性をはじめとして様々な生理活性を持つことが知られています。今回我々は、銅触媒存在下、2-エチニルベンズアルデヒド、パラホルムアルデヒド、二級アミン 、ジアミンの四成分を酸素雰囲気下で反応させることにより、マンニッヒ型反応、イソキノリン骨格形成、環化反応、酸化反応がone-potで進行し、イソキノリン縮環型多環式骨格が一挙形成されること を見出しました。本反応により、五~八員環が縮環したイソキノリン化合物を短工程で合成することに成功しました。[PubMed]
J. Org. Chem. in press.

Design and synthesis of membrane fusion inhibitors against the feline immunodeficiency virus.

ネコの免疫不全症候群の原因ウイルスであるFIVの感染には、ウイルス粒子膜と宿主細胞の細胞膜の融合が不可欠であり、ウイルスの表面糖タンパク質gp40のフォールディングがこのプ ロセスを進めるのに必要であると考えられています。我々は、種々のウイルス株のgp40の部分ペプチドの構造活性相関研究を展開し、強力な抗FIV活性を 示す配列を同定しました。[PubMed]
Bioorg. Med. Chem. 17(14) 4916-4920 (2009)

Facile synthesis of 1,2,3,4-tetrahydro-b-carbolines by one-pot domino three-component indole formation and nucleophilic cyclization.

1,2,3,4-テトラヒドロ-β-カルボリン骨格は、抗酸化剤等に含まれる有力な創薬テンプレートで、天然物合成の中間体としても有用です。今回我々は、2-エチニルアニリン誘導体、アルデヒド、及びN-メチル エタノールアミンを用いて、銅触媒による三成分反応により2-(アミノメチル)インドール形成を行った後、t-BuOKを添加することにより1,2,3,4-テトラヒドロ-β-カルボリン化合物をワンポットで合成する手法を確立し ました。またアミン成分としてアミノ酸誘導体を用いて三成分インドール形成後、MsOHを添加してβ-カルボリン化合物を効率的に合成することに も成功しました。[PubMed]
Org. Lett.11(9) 1979-1982 (2009)

Palladium-catalyzed direct synthesis of carbazoles via one-pot N-arylation and oxidative biaryl coupling: synthesis and mechanistic study.

我々は最近、N-アリール化と酸化的C-H活性化を用いたone-pot反応による、カルバゾールの効率的合成法を開発しましたが、酸化的C-H活性化の反応機構は解明されておりませんでした。そこで我々は、詳 細な置換基効果の検討や速度論的同位体効果の検討、酸化的C-H活性化の段階における反応中間体の捕捉を行いました。その結果、ジアリールアミンのオルト位で連続的に起こるC-H活性化の反応 機構について、新たな知見を得ることができました。[PubMed]
J. Org. Chem.74(13) 4270-4276 (2009)

Efficient synthesis of aminomethylated pyrroloindoles and dipyrrolopyridines via controlled copper-catalyzed domino multi-component coupling and bis-cyclization.

縮環式含窒素複素環は多くの生理活性天然物や医薬品に含まれる構造モチーフで、創薬テンプレートとしても重要な骨格です。今回我々は、銅触媒を用いた多成分カップリング-連続環 化反応を開発し、新規ドラッグライクテンプレートとして期待できるピロロインドール骨格及びジピロロピリジン骨格の一挙構築に成功しました。さらに、反応条件を調節することにより、異なる数(0~2個 )のアミノメチル基を導入した三種類の生成物を、全て共通の基質から高収率かつ選択的に合成できることを見出しました。[PubMed]
J. Org. Chem. 74(11) 4246-4251 (2009)

Amino acid-based synthesis of trifluoromethylalkene dipeptide isosteres by alcohol-assisted nucleophilic trifluoromethylation and organozinc-ccopper-mediated SN2' alkylation.

ペプチド結合の平面性に基づいて設計されたアルケンジペプチドイソスターは構造的相同性の高いジペプチド等価体です。その中でもトリフルオロメチルアルケンジペプチドイソス ター(CF3-ADIs)はペプチド結合に近似した双極子モーメントを有するイソスターであり、その立体選択的合成法の開発が求められています。今回我々は、アラニン及びフェニルアラニンより誘導し たα,β-不飽和ケトエステル 1から、炭酸セシウムとアルコールを触媒とする求核的トリフルオロメチル化反応と有機銅-亜鉛複合試薬を用いたSN2’アルキル化反応を鍵反応として、6種類のXaa -Yaa型CF3-ADI 4を合成することに成功しました。[PubMed]
J. Org. Chem. 74(12)4626-4629 (2009)

Peptide bond mimicry by (E)-alkene and (Z)-fluoroalkene peptide isosteres: synthesis and bioevaluation of a-helical anti-HIV peptide analogues.

HIV膜融合阻害剤SC29EKは、αヘリックスの溶媒接触面に導入されたヘリックス誘起モチーフにより高い抗ウイルス活性を示します。我々は、分子内水素結合がSC29EKのαヘリックス構造及び抗HIV活性に与える影響 について、SC29EK中に4か所存在するLys-Lys部位をアルケン型ジペプチドイソスターに置換することにより精査しました。その結果、配列中央部の水素結合がペプチドの構造や活性に寄与している ことを明らかにしました。[PubMed]
Org. Biomol. Chem. 7(14) 2872-2877 (2009)

Cu(II)-mediated oxidative intermolecular ortho C-H functionalisation using tetrahydropyrimidine as the directing group.

遷移金属触媒のよるC-H官能基化反応は原子効率の高い反応として、近年注目されています。その中でも、配位性置換基を利用したC-H官能基化反応は、配位性置換基に近いC-H結合のみを 選択的にC-C、C-N、C-O、C-X(X=F、Cl、Br、I)結合に変換することが可能であるため、非常に有用な変換反応として期待されています。今回我々はいまだ報告例の少ない、銅触媒を利用したC-H官 能基化反応の開発に着手しました。検討の結果、求核種の共存下、2-フェニルテトラヒドロピリミジンに酢酸銅(II)を作用させると、C-O,C-N結合がテトラヒドロピリミジン官能基のオルト位に選択的に 導入されることを見出しました。 [PubMed]
Chem. Commun. (23) 3413-3415 (2009)

Structure-activity relationship study on polyglutamine binding peptide QBP1.

ポリグルタミン配列を有するタンパクの凝集および沈着はハンチントン病をはじめとする神経変性疾患を引き起こすと考えられています。その凝集過程は11アミノ酸残基からなるQBP1の存在下で 有意に遅延されることが知られています。我々はQBP1の構造活性相関研究を行った結果、5つの疎水性側鎖官能基が凝集阻害活性に重要であることを明らかにしました。さらに、ポリグルタミン凝集阻害 活性を示す最小構造としてオクタペプチド31を同定しました。[PubMed]
Bioorg. Med. Chem. 17(3) 1259-1263 (2009)

2008

Total synthesis of (±)-lysergic acid, lysergol, and isolysergol by palladium-catalyzed domino cyclization of amino allenes bearing a bromoindolyl group.

Ergot alkaloid類はカビの菌核より抽出されたインドールアルカロイドであり、リゼルグ酸をはじめとして数多くの天然物が報告されています。今回我々は、パラジウム触媒によるアレンの連続環化反応を鍵反応 としたergot alkaloid骨格の合成を計画しました。市販の4-bromoindoleから10工程で合成したpropargyl vinyl ether 2に対して金触媒によるClaisen転位反応を行うことでアレン3を合成しました。3をノシルアミド4お よびトシルアミド5に変換後、パラジウム触媒を用いた連続環化反応により、ergot alkaloid骨格を有する6,7を良好な収率で得ることに成功しました。さらに官能基変換により生理活性天然物であるlysergol、isolyserg olおよびlysergic acid,の全合成を達成しました。[PubMed]
Org. Lett.10(22) 5239-5242 (2008)

Development of novel GPR54 agonists with resistance to degradation by matrix metalloproteinase.

-マトリックスメタロプロテアーゼ耐性新規GPR54アゴニストの開発-
当分野において見出されたGPR54アゴニストは強力な生理活性を有するものの、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)によりGly-Leuペプチド結合が切断され、失活してしまいます。そこで、この加水分解部 位をアミド等価体に変換したMMP耐性GPR54アゴニストを設計しました。GPR54アゴニスト活性を維持することのできる非水解性構造を効率的に見出すため、E型アルケンジペプチドイソスターを共通中間体 として種々のジペプチドイソスターを合成し、ペプチド鎖に導入しました。その結果、GPR54アゴニスト活性を損なうことなく生体内安定性が改善された新規GPR54アゴニ ストを見出しました。[PubMed]
J. Med. Chem.51(23) 7645-7649 (2008)

Identification of minimal sequence for HIV-1 fusion inhibitors.

エイズ治療において既存の薬剤に対する耐性ウイルスの出現が問題となっており、新規標的としてウイルス-宿主膜融合過程が注目されています。HIVウイルス由来ペプチドのC34, T-20はヘリックス性が高く、抗HIV活 性を示すことが知られています。本研究では抗HIV活性に必要な最少構造を探索し、C34のC末端5残基を除きへリックスを誘起するモチーフを導入したSC29EKが高い抗ウイルス活性を維持することを見出しました。さら にヘリックス構造の安定化及びプロテアーゼ耐性を目的として溶媒接触面のアミノ酸残基を非天然アミノ酸に変換し、活性を維持した誘導体のデ ザインに成功しました。[PubMed]
Bioorg. Med. Chem. 16(20) 9184-9187 (2008)

Concise synthesis of indole-fused 1,4-diazepines through copper(I)-catalyzed domino three-component coupling-cyclization-N-arylation under microwave irradiation.

現代の有機合成化学は、入手容易な化合物から複雑な構造を有する骨格を一挙に構築する方法論の開発が求められています。特に、一つのフラスコ内で複数の素反応を触媒するタンデム触媒は、環境負荷が小 さく原子効率に優れた反応として注目されています。今回我々は、有用な創薬テンプレートとして知られているインドール縮環型1,4*ベンゾジアゼピン骨格のタンデム触媒型一挙構築法の開発を行いました。検討の結果、 入手容易なヨウ化銅をタンデム触媒として、2-エチニルアニリン誘導体、パラホルムアルデヒド、o-ブロモベンジルアミンの三成分反応*インドール形成*N-アリール化により、インドール縮環型1,4*ベンゾジアゼピンを 一挙に合成することに成功しました。
Org. Lett. 10(16) 3535-3538 (2008)

Identification of novel nonpeptide CXCR4 antagonists by ligand-based design approach.

一般に、ペプチド性化合物は、経口吸収性や体内動態特性がすぐれない ことから、そのすぐれた生物活性にも関わらず、創薬展開が敬遠される 傾向にあります。我々は、ケモカイン受容体CXCR4に対し て強力 なアンタゴニスト活性を示す環状ペンタペプチドFC131につい て、小分子化合物への変換を試み、ドラッグ-ライクテンプレー ト上にFC131のファルマコフォアの空間提示の再現を期待した 様々な誘導 体の中から、中程度のCXCR4アンタゴニスト活性を示 す非ペプチド性化合物を見出しました。
Bioorg. Med. Chem. Lett. 18(14) 4124-4129 (2008)

Palladium-catalysed biscyclisation of allenic bromoalkenes through zipper-mode cascade.

アレンとアルケニルハライドはパラジウム触媒存在下においてカルボパラデーションによりπ-アリル錯体を形成し、さまざまな求核剤と反応することが広く知られています。しかしながら、分子内に求核部位を有するアル ケニルハライドを用いた環化反応の例はごく限られており、分子内連続環化反応による縮環型複素環構築に成功した例はこれまで報告されていません。我々は、分子内に求核基を導入したブロモエンアレンに触媒 量のトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムとTBAFをアセトニトリル溶媒中で作用させると縮環型二環性複素環を収率良く得られることを見出しました。さらに本反応は縮環型中員環やベンゾアゼピン骨格を有する 三環性複素環の合成にも広く適用できることが明らかとなりました。
Chem. Commum. 303534-3536 (2008)

Palladium-catalyzed sp3 C*H activation of simple alkyl groups: direct preparation of indoline derivatives from N-alkyl-2-bromoanilines.

遷移金属触媒を用いたC-H活性化反応は近年盛んに研究が行われていますが、そのほとんどがsp2炭素を有する芳香環のC-H活性化に留まっており、sp3炭素のC-H活性化の例はほとん ど知られていません。また、これまで報告されてきたsp3C-H活性化反応は、ベンジル位など高活性なC-H結合の反応例を除いて、分子内に配向基や4級炭素を必要とするため基質一般性に乏しいも のでした。今回、我々はパラジウム触媒を用いて通常上活性であるアルキル基のsp3C-H結合を活性化し新たにC-C結合を形成することでインドリン骨格を構築する新規合成法を開発しました。本反 応は芳香環部位にヘテロ環を導入しても効率的に進行し、分子内に4級炭素を必要とせずにC-H活性化を起こすことができる点において極めて有用です。[Link]
Org. Lett. 10(9) 1759-1762 (2008)

Structure-activity relationship of pyrazine-based CK2 inhibitors: synthesis and biological evaluation of 2,6-disubstituted pyrazine and 4,6-disubstituted pyrimidine derivatives.

最近、我々はプロテインキナーゼCK2の阻害剤が腎炎の治療薬として有望であることを見出しました。この研究成果に基づいて東レの研究グループによって開発されたCK2特異的阻害剤 (1a, 1b) は母核のピラジン環に ピロール酢酸部位と6-アミノインダゾール部位が結合した構造を有しています。今回我々は類似の基本構造を有する2,6-二置換ピラジン及び4,6-二置換ピリミジン誘導体を各種合成し、そのCK2阻害活性を評価しました。その結 果、ピロール酢酸と一置換アニリンが結合したピラジン誘導体が高い阻害活性を有することを見出し、構造活性相関についての有用な知見を得ました。
Archiv. Pharm. (Weinheim) 341(9) 554-561 (2008)

Facile synthesis of 3-(aminomethyl)isoquinolines by copper-catalysed domino four-component coupling and cyclisation.

Isoquinoline骨格は生物活性化合物や天然物に広く見られる基本構造です。特に3位にアミノメチル基を有するisoquinolineは重要な生物活性をもつ化合物に存在します。一方で、多成分反応や連続結合形成反応 は、環境調和型反応として注目を集めています。これらの観点から、今回我々は多成分カップリングによる3-(aminomethyl)isoquinolineの合成を検討しました。触媒量のCuI存在下2-ethynylbenzaldehyde、(HCHO)n、二級 アミン、t-BuNH2の四成分を反応させることにより、目的の3-(aminomethyl)isoquinolineを高収率で得ることに成功しました。本反応によって、三つのC-N結合と一つのC-C結合を一挙に構 築できます。[Link]
Chem. Commun. 7835-837(2008)

Diastereoselective synthesis of highly functionalized fluoroalkene dipeptide isosteres and its application to Fmoc-based solid phase synthesis of a cyclic pentapeptide mimetic.

トランスメタル化を経由するOne-Pot還元/上斉アルキル化反応を鍵反応として官能基を有するフルオロアルケン型イソスターの合成およびペプチド固相合成法への応用を検証しました。また、ケモカイン受容 体CXCR4アンタゴニストである環状ペンタペプチド FC131 [cyclo(-D-Tyr-Arg-Arg-Nal-Gly-)]のArg-Arg間のペプチド結合にフルオロアルケン型イソスターを導入し、297 nMと強力なアンタゴニスト活性を有する環状 シュードペプチドFCN001の創出に成功しました。
Tetrahedron, 64(19) 4332-4346 (2008)

Efficient synthesis of trifluoromethyl and related trisubstituted alkene dipeptide isosteres by palladium-catalyzed carbonylation of amino acid-derived allylic carbonates.

ペプチドリード創薬において、ペプチド結合の非水解性結合への置換は重要な方法論のひとつです。CF3アルケン型ジペプチドイソスター(CF3-ADIs)はペプチド結合に近似した双極子モーメントを有する イソスターであり、その立体選択的合成法の開発が求められています。今回我々は、フェニルアラニン誘導体1より得られたカルボナート2aに対しパラジウム触媒を用いたカルボニル化反応を行い、目的とす るPhe-Gly型CF3-ADI 3aを立体選択的に合成することに成功しました。また本合成法を応用し、種々の三置換アルケンジペプチドイソスター3bの合成にも成功しました。[Link]
J. Org. Chem. 73(10) 3942-3945 (2008)

Direct construction of bicyclic heterocycles by palladium-catalyzed domino cyclization of propargyl bromides.

パラジウム触媒により二つの求核種をプロパルギル化合物に導入する反応は広く知られていますが、分子内に二つの求核種を有する基質を用いた二環性複素環の一挙構築に成功した例は報告されていません でした。我々は、分子の両末端にスルホンアミド求核部位を有するプロパルギルブロミドに対し、触媒量のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムと水素化ナトリウムをメタノール溶媒中で作用させると、縮環型二環性複 素環が収率良く得られることを見出しました。興味深いことに、反応の位置選択性はプロパルギルブロミド部位との位置関係に関係なく、求核種の反応性によって規定されることも明らかになりました
Org. Lett. 10(6) 1171-1174 (2008)

Structure-activity relationship study and NMR analysis of fluorobenzoyl pentapeptide GPR54 agonists.

-フルオロベンゾイル基を有するペンタペプチド型GPR54アゴニストの構造活性相関研究とNMR解析-
本研究では強力なGPR54アゴニストとして4-フルオロベンゾイル誘導体の構造展開として、様々なフルオロベンゾイル基を有するペンタペプチドの構造活性相関研究を行いました。その結果、オルト位、メタ位へのフッ素置換は受 容体結合親和性に上利に働くことが明らかとなりました。また、各誘導体のNMR解析より、オルト位にフッ素をひとつ有するベンゾイル基は分子内水素結合を形成することで芳香環とカルボニル基が同一平面上にある一方で、 オルト位にフッ素をふたつ有するものは立体もしくは静電的反発により芳香環平面とカルボニル平面が直交していることが示唆されました。[Link]
Biopolymers, 90(4) 503-511 (2008)

Synthesis and application of fluorescein- and botin-labeled molecular probes for chemokine receptor CXCR4.

我々はカブトガニ血漿蛋白由来の防御ペプチドpolypphemusin IIをリード化合物として、14残基のβシート様ペプチドT140を開発し、T140がCXCR4に対して強力なアンタゴニスト活性を持つ事を見出しています。こ れまでの構造-活性相関情報により、T140はArg2、Nal3 (3-(2-naphthyl)alanine)、Tyr5、Arg14の4つの残基がファルマコフォアであることがわかっています。そこでCXCR4への結合能の低下を避けるために、ファルマコフォ ア外であるN末端側あるいはβターン上のD-Lys8のアミノ基を蛍光標識し、種々のT140蛍光誘導体を合成しました。その結果、D-Lys8のアミノ基を蛍光標識した誘導体において、CXCR4への結合活性の維持が認められ ました。またこれら得られた誘導体をフローサイトメトリーおよび共焦点顕微鏡を用いてin vitro系内におけるCXCR4への結合確認実験を行ったところ、CXCR4特異的な蛍光イメージングが可能であることが確 認できました。[Link]
ChemBioChem. 9(7) 1154-1158 (2008)

Design of a novel HIV-1 fusion inhibitor that displays a minimal interface for binding affinity.

HIV-1はエンベロープタンパクのgp41を介して標的細胞内に侵入します。その過程で、gp41のαへリックス性の高いNHR領域とCHR領域が6- helical bundleを形成することが重要であると知られています。CHR由来ペプチドの 一つであるT-20は、膜融合を阻害することにより抗HIV活性を示すと考えられていますが、詳細なメカニズムは明らかにはなっていません。我々は、分子内での塩橋によりαへリックスを誘起するX-EE-XX-KKの配列をT-20に導入し た新規阻害剤T-20EKをデザインし、生物活性および物理化学的特性の評価を行いました。T-20EKはヘリックス性の向上に伴い抗HIV活性が向上し、野生型だけでなくT-20耐性ウイルスやHIV-2に対しても高い活性 を示しました。
J. Med. Chem. 51(3) 388-391 (2008)

2007

Development of copper-mediated allylation of γ-activated-α,β-unsaturated lactam toward peptide mimetic synthesis.

両論量もしくは触媒量の銅塩存在下、アリルボロネートとLiOi-Prを用いることで、γ位が活性化されたα,β-上飽和ラクタムへの選択的anti-SN2’アリル化反応の開発に成功しました。また本反応を、以前に報告したcis-Proミメティック の合成法に応用することで、Ser-Pro 配列を有する(Z)-アルケン含有cis型プロリンミメティックをより少ない工程数で合成することが出来ました。本反応は、種々の基質への銅触媒によるアリル化反応に対しても応用できる可能 性があると思われます。[Links]
Tetrahedron lett.48(18) 3221-3224 (2007)

One-pot synthesis of carbazoles by palladium-catalyzed N-arylation and oxidative coupling.

物由来のアルカロイド中にはカルバゾール骨格を有するものも多く、抗腫?、抗炎症、抗菌作用など様々な生物活性を示すものが多く知られています。しかしながら、既知の方法ではカルバゾ ール誘導体を得るのに数工程必要であるため、効率的な合成法の開発が望まれています。そこで我々は、パラジウム触媒を用いたN-アリール化とC-H 活性化を連続的に行うone-pot合成法の開発を行 いました。その結果、様々な置換基を有するカルバゾール誘導体の効率的合成法の開発に成功し、同時に、C-H活性化が顕著な置換基効果の影響を受けている ことを見出しました。[Links]
Chem. Commun.32 4516-4518 (2007)

Gold-catalyzed hydroarylation of allenes: a highly regioselective carbon-carbon bond formation producing six-membered rings.

金触媒は通常上活性な上飽和結合を活性化し、新たに炭素―炭素結合を形成させることが出来るため、強力な合成ツールとして近年盛んに研究が行われています。我々は芳香環とアレンによる環化の検討過程 で各種遷移金属を検討し、金触媒を用いると効率的に環化が進行することを見出しました。また酢酸を溶媒として用いることで反応性が劇的に向上することを見出し、重水素化実験を行うことにより、酢酸の反応促 進機構を明らかにしました。[Links]
Org. Lett.9(23) 4821-4824 (2007)

Zipper-mode double C-H activation: palladium-catalyzed direct construction of highly-fused heterocyclic systems.

C-H活性化反応は原子効率の高い炭素*炭素結合形成反応として注目されていますが、連続C-H活性化反応に成功した例はほとんど知られていません。我々は、パラジウム触媒を用いたZipper型連続C-H結合活性 化反応を検討し、直接的に縮環型芳香族化合物を合成する新しい手法の開発に成功しました。ブロモシンナミルアルコールとブロモアニリンの縮合により容易に得られる基質に対して、触媒量の酢酸パラジウムと炭酸セシウム をジオキサン中で作用させると、ナフトインドール誘導体を高収率で得られました。さらに、シンナミルアルコール部位にベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール等の複素環を導入することで、対応する三環性及び四環性ヘテロ芳 香環を容易に得られることを見出しました。[Links]
Org. Lett.9(23) 4813-4815(2007)

Versatile use of acid-catalyzed ring-opening ofβ-aziridinyl-α,β enoates to stereoselective synthesis of peptidomimetics.

触媒量のTMSOTf存在下、アルコールやチオールなどの求核剤、もしくはAcOHやNα-保護アミノ酸などの弱酸を用いたβ-aziridinyl-α,β-enoatesの位置及び立体選択的開環反応の開発に成功 しました。本反応をクライゼン転移やO,N-アシル転移反応、有機銅触媒によるanti-SN2’型アルキル化反応と組み合わせることにより、(E)-アルケン型ジペプチドイソスター (EADI)を含むペプチドミメティックスを効率よく合 成することが可能になります。また、固相上での開環反応によるEADIの合成についても検討しました。[Links]
Tetrahedron, 63(37) 9243-9254 (2007)

Facile synthesis of fluoroalkenes by palladium-catalyzed reductive defluorination of allylic gem-difluorides.

触媒的炭素―フッ素結合切断を伴うフルオロアルケン骨格の新規合成法の開発に成功しました。アリルジフルオリドに対し触媒量のEt3N及びPd錯体存在下、PhSiH3を作用させることで対応するフルオロアルケン骨 格が化学及び立体選択的に得られます。本反応は様々な官能基を有する基質に対し適用可能であり、温和な条件かつ非常に高い触媒効率で反応が進行します。また反応機構について検討したところ、本合成 法はPd触媒による還元的脱フッ素化反応及びEt3N触媒によるEtOHとPhSiH3の水素の発生を伴うカップリング反応の二つの触媒反応により成り立っていることが明らか になりました。[Links]
Org. Lett.9(17) 3465-3468 (2007)

Heck-type cyclization of oxime ethers: stereoselective carbon-carbon bond formation with aryl halides to produce heterocyclic oximes.

Heck反応はアルケンやアルキンに対して炭素*炭素結合を形成する有用な反応として有機合成に広く用いられています。一方で、炭素*ヘテロ原子多重結合に対する一般性の高いHeck型反応は知られて いませんでした。我々は、オキシムエーテルを有するアリールハライドを用いてパラジウム触媒による閉環反応を検討したところ、炭素*窒素二重結合へのHeck型反応が円滑に進行し、(Z)-型のインドリンオキシムが高選択 的に得られることをはじめて見出しました。オキシムエーテルの幾何異性は生成物に反映されないことから、反応の最終段階である脱離反応はパラジウムアミド中間体の立体反転を伴いながら進行しているものと考えられま す。本反応は縮環型インドールやベンゾフラノン誘導体の合成にも利用できる一般性の高い手法です。[Links]
Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 46(33) 6325-6328 (2007)

Design and synthesis of all diastereomers of cyclic pseudo- dipeptides as mimics of cyclic CXCR4 pentapeptide antagonists.

当研究室では、ケモカイン受容体CXCR4に対する強力なアンタゴニスト活性を有する14アミノ酸からなるペプチドT140及びT140を低分子化した環状ペンタペプチドFC131を創出しています。本研究では、さらなる低分子化合物の創 出を目的として、図のAような11員環構造を有する様々な化合物の合成を行い、その活性を評価しました。その結果、いくつかの化合物がCXCR4アンタゴニスト活性を示しました。これらの化合物は新規の低分子CXCR4アンタゴニストの開 発において可能性をもった構造になり得ると考えられます。[Links]
Org. Biomol. Chem. 5(12) 1915-1923 (2007)

A highly regio- and stereoselective formation of bicyclo [4.2.0]oct-5-ene derivatives through thermal intramolecular [2 + 2] cycloaddition of allenes.

アレンと多重結合間の [2 + 2] 型環化付加反応は古くから知られていますが、アレンの外側のπ電子を環化に利用した例は特殊なアレンを除いて知られていませんでした。我々は、分子内に二重結合や三重結合を 有するアレンを高沸点溶媒中で加熱するだけで、アレン外側のπ電子の環化付加反応により、ビシクロ[4.2.0]オクタン誘導体が高収率で得られることを見出しました。エンアレンの環化付加反応においては、オレフィン部分 の幾何異性は生成物に完全に転写されるのに対し、アレン部分の軸上斉は保持されませんでした。これらの結果は平面的なアリルラジカル部分を有するビラジカル中間体の存在を 示唆しています。[Links]
J. Org. Chem.72(12) 4378-4389 (2007)

SAR and QSAR studies on the N-terminally acylated pentapeptide agonists for GPR54

-ペンタペプチドGPR54アゴニストのN末端アシル基における(定量的)構造活性相関研究-
当分野ではGPR54の内在性リガンドmetastinの低分子化研究により、新規GPR54アゴニストとしてN末端をアシル化されたペンタペプチド誘導体を同定しました。このN末端アシル基が活性発現に対して重要な役割を果たしていると 当部位における詳細な構造活性相関研究を展開しました。その結果、強力な新規GPR54アゴニストとして4-フルオロベンゾイル誘導体を見出しました。また、合成した一連のペンタペプチド誘導体に対して定量的構造活性相 関解析を行い、N末端アシル基のGPR54アゴニスト活性への影響を精査しました。[Links]
J. Med. Chem. 50(14) 3222-3228 (2007)

Establishment and clinical application of enzyme immunoassays for determination of luteinizing hormone releasing hormone and metastin.

-黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)およびmetastinに対するELISA系の構築-
近年、metastinによるGPR54の活性化が癌細胞の転移抑制のみならず、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)の分泌促進に関与していることが明らかにされました。また、近年の報告によりGPR54の機能欠?が性 機能の未発達と関連が示唆されています。当分野では低ゴナドトロピン・性腺機能低下症(IHH)患者における血漿中のmetastinおよびLHRHの濃度を調べるために、それぞれの生理活性ペプチドに対する ELISA系を構築しました。[Links]
J. Pept. Sci. 13(6) 422-429 (2007)

Fmoc-based solid-phase synthesis of GPR54-agonistic pentapeptide derivatives containing alkene- and fluoroalkene-dipeptide isosteres

-アルケン型ジペプチドイソスター含有GPR54アゴニスト誘導体の合成と構造活性相関研究-
近年、当分野においてcis-アミドを模倣したアルケン型ジペプチドイソスターの効率的合成法を開発しました。このcis-アミド型ジペプチドイソスターの有用性を生理活性ペプチドに拡大するため、(Z)-アルケン型および(E)-フルオロアルケン 型ジペプチドイソスターを有するペプチドの合成、および誘導化合物の構造活性相関研究を行いました。具体的には、それぞれのジペプチドイソスターをFmoc保護した後、固相ペプチド合成法に応用することでGPR54アゴニスト誘 導体を調製しました。同様に、それぞれの幾何異性体も併せて合成し、GPR54アゴニストの活性コンフォメーション解析を行いました。[Links]
Biopolymers, 88(2) 272-278 (2007)

Direct synthesis of 2-(aminomethyl)indoles through copper(I)-catalyzed domino three-component coupling and cyclization reactions.

インドールは多くの天然物における核として構成されているので、薬理学的に非常に有用性をもっており、長い間多大な注目を集めています。特にアミノメチルインドールモチーフは生物学的活性をもつ鍵として存在して います。今回我々は、dioxane中Cu(I)触媒条件下で、2-Ethynylaniline誘導体、アルデヒド、二級アミンという三成分を用いることによって二位に置換基の存在するインドール誘導体の合成法の開発 に成功しました。[Links]
Angew. Chem. Int. Ed. Engl.46(13) 2295-2298 (2007)

Structure-activity relationships of cyclic peptide-based chemokine receptor CXCR4 antagonists: disclosing the importance of side-chain and backbone functionalities.

当研究室では、以前より強力なケモカイン受容体アンタゴニストである環状ペンタペプチド[cyclo(-D-Tyr1-Arg2-Arg3-Nal4-Gly5-)]とArg2のエピマー[cyclo(-D-Tyr1-Arg2-Arg3-Nal4-Gly5-)]を創出しています。本研究では、こ れら二つのペプチドのアミノ酸残基をアラニン置換やN-メチル化などによって置換し、それら置換した化合物と、元の活性化合物の構造解析による比較を行いました。その結果、活性の見られた置換化合物は元の化合 物と似たようなコンフォメーションをとることが推定され、活性発現に必要な分子の構造を推定することができました。[Links]
J. Med. Chem. 50(2) 192-198 (2007)

Bromoallenes as allyl dication equivalents in the presence or absence of palladium(0): direct construction of bicyclic sulfamides containing five- to eight-membered rings by tandem cyclization of bromoallenes.

我々は最近、ブロモアレンがパラジウム触媒とアルコール存在下においてアリルジカチオン等価体として機能する新しい反応性を見出しました。次に我々は、分子内に二つの求核部位を有するブロモアレンを用いれば連続環化反応 に展開できる可能性があると期待しました。分子内にスルファミドを有するブロモアレンの連続環化反応を検討した結果、パラジウム触媒が存在しなくても五及び六員環形成反応が円滑に進行し、対応する縮環型スルファミドを高収 率で与えることを見出しました。一方、パラジウム触媒存在下で行うと、アレンの中心炭素における最初の環化反応が進行し、環員数の異なる生成物が選択的に得られることを明らか にしました。[Links]
Chem. Eur. J.13(6) 1692-1708 (2007)

A novel oxazolidine linker for the synthesis of peptide aldehydes

-Oxazolidine Linkerを用いたペプチドアルデヒドの固相合成-
Leupeptinが発見されて以来、ペプチドアルデヒドはproteaseの阻害剤として注目を浴びてきました。アルデヒド水和物のジオール構造が、酵素の加水分解遷移状態に酷似しているため、酵素に対し高い親和性が期待できると考えられ ています。またペプチドアルデヒドは、ペプチドミメティクスのビルディング・ブロックとしても有用です。当分野ではアルデヒドをアミノエタノールで保護し、生成したオキサゾリジン環をさらにカーバメートで保護することにより、Fmoc strategyによる ペプチドの固相合成に通常用いられるTFA処理と同様の操作でペプチドアルデヒドが得られる方法を開発しました。[Links]
Int. J. Pep. Res. Ther. 13(1-2) 271-279 (2007)

A novel oxazolidine linker for the synthesis of peptide aldehydes

ヨウ化サマリウムによる分子内還元的アルキル化反応によりラクタム1を効率よく二環性ラクタム3へと誘導し、ラクチムエーテルを経由する開環反応によりα位のエピメリ化を伴わずに(Z)-アルケン含有cis型プロリンミメテ ィックの立体選択的合成に成功しました。ヨウ化サマリウムによる還元的アルキル化反応は添加剤及び溶媒に大きく依存し、DMPU-CH3CNを用いた場合に最もよい結果を与えました。また、DFT計算により還元的アル キル化反応の立体選択性発現についても検討しました。[Links]
Tetrahedron, 63(9) 2000-2008(2007)

2006

A novel one-pot reaction involving organocopper-mediated reduction/transmetalation/asymmetric alkylation, leading to the diastereoselective synthesis of functionalized (Z)-fluoroalkene dipeptide isosteres.

有機銅試薬による一電子還元、連続するトリフェニルスズクロリドによるトランスメタル化、上斉アルキル化反応によりOne-Potで効率よく(Z)-フルオロアルケン型ジペプチドイソスターの高立体選択的合成法の開発に成功 しました。本合成法ではアミノ基構築の立体化学と還元/アルキル化における上斉補助基の立体化学の組み合わせにより、(L,L) 型だけでなく (L,D)、(D,D)、(D,L) 型イソスターが合成可能になります。また様々な求電子 剤を用いることで多くの類縁体合成が可能であることから、多様性に富んだペプチドミメティックスライブラリーを構築することができます。[Links]
Chem. Commun. (Camb)454720-4722 (2006)

Structure-activity relationship study on small peptidic GPR54 agonists.

-ペンタペプチドGPR54アゴニストの構造活性相関研究-
当分野ではGPR54の天然ペプチドアゴニストmetastinの低分子化を行い、新規GPR54アゴニストとしてN、C両末端をアミド基に修飾されたペンタペプチド誘導体を見出しました。これらのGPR54アゴニストとしての構造的要求を調 べる目的で、各アミノ酸残基について側鎖官能基の変換を行うとともに、C末端アミド基の化学修飾を施した誘導体の合成および活性評価を行いました。[Links]
Bioorg. Med. Chem.14(22) 7595-7603 (2006)

Stereoselective synthesis of (z)-alkene-containing proline dipeptide mimetics.

α-アミノ酸より誘導したラクタム1に対し、有機銅試薬によるSN2’型アルキル化反応及びパラジウム触媒による鈴木-宮浦カップリングを行いプロリンの側鎖に相当する五員環を有する二環性ラクタム4へ と誘導し、ラクタム4のアミド結合を切断することにより、Xaa-Pro型(Z)-アルケンイソスター5の位置及び立体選択的合成に成功しました。本合成法により、種々のアミノ酸を出発原料とすることで様々な(Z)-アルケン含有cis型プ ロリンミメティックの合成が可能になります。[Links]
J. Org. Chem. 71(13) 4969-4979 (2006)

Stereoselective synthesis of 3,6-disubstituted-3,6-dihydropyridin-2- ones as potential diketopiperazine mimetics using organocopper- mediated anti-S(N)2' reactions and their use in the preparation of low-molecule CXCR4 antagonists.

αアミノ酸より誘導したγ-phosphoryloxy-α,β-unsaturated-δ-lactamに対し、有機銅試薬を用いたanti-SN2’反応により、多価官能基を有するジケトピペラジンミメティックを高立体選択的に合成することに成功しました。またanti-SN2’反応において LiClを添加すると位置選択性が大幅に向上することから、LiClとCuがクラスターを形成し反応場を固定していることが示唆され、その仮説はDFT計算により支持されました。さらに確立した合成法をCXCR4アンタゴニスト創製研究へと応用し 、新規低分子化合物の創出に成功しました。[Links]
J. Org. Chem. 71(10) 3942-3951 (2006)

Synthesis of (z)-alkene and (e)-fluoroalkene-containing diketopiperazine mimetics utilizing organocopper-mediated reduction-alkylation and diastereoselectivity examination using DFT calculations.

有機銅試薬によるone-pot還元/アルキル化反応により (Z)-alkene及び(E)-fluoroalkene含有ジケトピペラジンミメティックスを立体選択的な合成に成功しました。嵩高い求電子剤を用いた際には、3,6-trans体が優先的に得られました が、比較的小さな求電子剤を用いた際に選択性が逆転し3,6-cis体が優先的に得られました。このcis選択性はoxa-π-allyllithium complexにおいてカチオン*π相互作用による安定化が寄与していることがDFT計算により 示唆されました。[Links]
J. Org. Chem. 71(11) 4118-4129 (2006)

Identification of a new class of low molecular weight antagonists against the chemokine receptor CXCR4 having the dipicolylamine-zinc(II) complex structure.

-二核亜鉛錯体構造を有する非ペプチド性低分子CXCR4アンタゴニストの開発-
当分野では、これまでにHIV感染や癌の転移など様々な疾病に関与することが知られているケモカイン受容体CXCR4をターゲットとしたペプチド性アンタゴニストの創製研究を行ってきました。しかし、ペプチド性化合物は一般的に経口吸収性や 体内動態が優れないことから、非ペプチド性アンタゴニストの開発は重要な研究課題となっています。本研究では、リン酸化ペプチドに特異的に結合することが知られている蛍光プローブを基にした、分子内に二つの亜鉛原子が配 位した二核亜鉛錯体zinc(II)-2,2’-dipicolylamine(Dpa)を有する化合物群の構造活性相関研究を行っています。[Links]
J. Med. Chem. 49(11) 3412-3415 (2006)

Development of a linear type of low molecular weight CXCR4 antagonists based on T140 analogs.

ケモカイン受容体CXCR4はHIV感染や癌の転移、慢性関節リウマチなど様々な疾患に関与していることが知られています。当分野では、以前より強力なCXCR4アンタゴニスト活性を有する14アミノ酸からなるペプチド性化合物T140 を創出しています。本研究では、T140のファルマコフォアと考えられる残基(二つのアルギニン残基とナフチルアラニン残基)を有し、さらに分子内に、T140においてN末端に修飾することで生体内での安定性が向上することが分かっている p-fluorobenzoyl基などの様々な修飾を加えた化合物を合成し、活性評価を行っています。[Links]
Org. Biomol. Chem.4(12) 2354-2357 (2006)

Unequivocal synthesis of (Z)-alkene and (E)-fluoroalkene dipeptide isosteres to probe structural requirements of the peptide transporter PEPT1.

-シス型アミド等価体としてのアルケン型ジペプチドイソスターの合成、およびペプチドトランスポーターPEPT1の機能解析への応用-
アルケン型イソスターはペプチド結合に特有のcis-/trans-異性化を起こさないため、ペプチド構造機能解析における有用なツールであると考えられます。しかし、cis-アミドを模倣したアルケン型イソスターの効率的合成法が存在しなかっ たため、アミド結合の構造解析を目的としたアルケン型イソスターの応用例は稀でした。そこで、新たにcis-アミド等価体である(Z)-アルケン型および(E)-フルオロアルケン型ジペプチドイソスターの効率的合成法を開発しました。さらに、t rans-アミド模倣型イソスターとともに、PEPT1に対する親和性を評価し、PEPT1の基質認識特性について考察を行いました。[Links]
Org. Lett.8(4) 613-616 (2006)

Cysteine-derived s-protected oxazolidinones: potential chemical devices for the preparation of peptide thioesters.

プロテインスプライシングは翻訳後に自己触媒作用で起こるプロセスであり、その反応機構が明らかにされつつあります。このプロセスではInteinと呼ばれる内部配列がhost sequenseから切り出され、残りの配列 (Ex tein) 同士が縮合し、新たなペプチドが生成します。このシステムを模倣し、我々は人工タンパク質スプライシングシステムの構築、合成展開を目的とする研究の一環として、ペプチド結合活性化とN-Sアシル転移能 を併せ持つ機能性ユニットとしてシステイン由来アシルオキサゾリジノンのチオエステル合成、ペプチド合成における有用性を見出しました[Links]
Org. Lett. 8(39) 467-470 (2006)

Potassium carbonate- promoted stereospecific 5-endo-trig cyclization of unactivated allenes in the absence of any transition metals.

遷移金属触媒を用いたアレンの環化反応は、複素環を立体選択的に構築するための有用な手法として広く用いられています。一方で、活性化されていないアレンに対する求核置換反応はほとんど検討されていないのが現 状です。我々は分子内に窒素求核部位を有するアレンを用いて塩基のみによる閉環反応を検討した結果、アレンを炭酸カリウム存在下DMF中で加熱するのみで、5-エンド型環化異性化反応が効率よく進行することを見出し ました。本反応を軸上斉内部アレンに適応すると、対応するピロリン誘導体が立体特異的に得られることを明らかにしました。[Links]
Org. Lett.8(5) 947-950 (2006)

Design and synthesis of downsized metastin (45-54) analogs with maintenance of high GPR54 agonistic activity.

-GPR54アゴニストmetastin誘導体の低分子化研究-
GPR54は癌転移抑制、および内分泌系疾患治療における魅力的な創薬標的です。当分野はGPR54の天然ペプチドリガンドmetastinの活性部分構造metastin (45-54)をリードとする構造活性相関研究に着手しました。Metastin (45 -54)のアラニンスキャンより、C末端側の5つのアミノ酸残基が特に活性発現に必要であることが判明しました。次に文献情報に基づき、N末端に塩基性官能基、C末端にRWアミド骨格を有する種々の短鎖ペプチドを分子設計、合 成および活性評価を行った結果、metastinと同等の活性を示すGPR54アゴニストとして、ペンタペプチド誘導体を見出しました。 [Links]
Org. Lett.8(5) 947-950 (2006)

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