HOME> 研究内容> 小胞体Ca2+シグナリングに関する研究>ジャンクトフィリン

 

ジャンクトフィリン
細胞膜Ca2+チャネルと小胞体リアノジン受容体が機能共役するためには、両タンパク質が結合膜構造(細胞膜と小胞体膜が近接した興奮性細胞に共通した膜構築)に存在することが必須です。ジャンクトフィリンは、小胞体膜を貫通し細胞膜と結合することにより、結合膜構造の形成に寄与するタンパク質として、我々が発見した分子です。リアノジン受容体が生理機能を発揮するために必須なジャンクトフィリンをコードする遺伝子は、哺乳動物に4種存在しており発現組織が異なります。それらの遺伝子を欠損すると、骨格筋収縮不良、心筋収縮不全や中枢機能障害により致死性が観察されます。図はマウス胎児の心筋細胞のCa2+動態を観察した結果を示しています。心臓拍動に対応して個々の心筋細胞では同期したCa2+振幅を示すのですが、心臓に発現するジャンクトフィリン(JP-2)を欠損した胎児においては個々の心筋細胞はランダムなCa2+振幅を示します。そのため、心臓の循環ポンプとしての機能が不良となり、JP-2欠損マウスは胎生期に心不全により致死となります。一方、中枢でのジャンクトフィリン(JP-3とJP-4)の欠損は神経可塑性を引き起こし、記憶学習や運動学習が障害されます。さらに、ジャンクトフィリンの遺伝子変異により、心筋症やハンチントン病類似疾患のヒト遺伝病が発生することも明らかになってきました。

主要論文発表:
1. Takeshima, H. et al. Junctophilins: a novel family of junctional membrane complex proteins. Mol. Cell 6, 11-22, 2000.
2. Ito, K. et al. Deficiency of triad junction and contraction in mutant skeletal
muscle lacking junctophilin type 1. J. Cell Biol. 154, 1059-1068, 2001.
3. Moriguchi, S. et al. Functional uncoupling between Ca2+ release and afterhyperpolarization in mutant hippocampal neurons lacking junctophilins. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 103, 10811-10816, 2006.
4. Kakizawa, S. et al. Junctophilin-mediated channel crosstalk essential for cerebellar synaptic plasticity. EMBO J. 26, 1924-1933, 2007.

Copyrightc KYOTO UNIVERSITY All Rights Reserved.