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ミツグミン53
 ミツグミン53はRBCC/TRIMと命名されたファミリーに属する分子で、我々が骨格筋より新規な膜タンパク質として同定したものです。横紋筋特異的に発現しているミツグミン53は、細胞膜直下に分布する小胞に結合しています。ミツグミン53欠損マウスは、典型的な進行性筋ジストロフィー様の症状を示しました(図1)。米国グループとの共同研究により、ミツグミン53欠損筋細胞では、細胞膜損傷後の膜修復機構が障害されていることが解明されました。すなわち、ミツグミン53が分布する細胞内小胞が損傷部位に集合して、膜融合することによる膜修復が、ミツグミン53の欠失により機能しなくなるのです(図2)。この研究成果は、まったく不明であった膜修復の分子機構にミツグミン53が深く関与していることを明確に示しており、細胞生理学領域にて注目されています。また、細胞膜損傷による細胞死は筋ジストロフィーのみならず、炎症等を含めた多くの病態と関連することから、ミツグミン53研究の病態医学領域での発展も期待されます。


主要発表論文:
1. Cai et al. MG53 nucleates assembly of cell membrane repair machinery. Nature Cell Biol. 11, 56-64, 2009.
2. Cai et al. MG53 regulates membrane budding and exocytosis in muscle cells. J. Biol. Chem. 284, 3314-3322, 2009.
3. Masumiya et al. Mitsugumin 53-mediated maintenance of K+ currents in cardiac myocytes. Channels 3, 6-11, 2009.
4. Cai et al. Membrane repair defects in muscular dystrophy are linked to altered interaction between MG53, caveolin-3 and dysferlin.J. Biol. Chem. 284, 15894-15902, 2009.

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