実践創薬研究プロジェクト 京都大学大学院薬学研究科

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連携プロジェクトの概要

本プロジェクトは京都大学大学院薬学研究科(京大院薬)と国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(医薬健栄研)との連携に基づいて設立されました。両機関に所属する研究者が協力して、新しい創薬科学分野を創成していきます。

次世代ゲノムシーケンサ、ゲノム編集、iPS細胞、オルガノイド、1細胞解析、質量分析、超解像顕微鏡、クライオ電顕等の、今までの創薬の根幹を揺るがす大きな技術革新が最近の5-10年で次々起きています。さらに、深層学習や人工知能のような情報科学の新規技術や超大型計算機を用いた大規模計算機科学の登場により、今までの目利きに頼った創薬から多変量複雑系を包括する解析が可能になりつつあります。

ゲノム等コホート研究は進み、大量のデータが蓄積する中でさらに必要とされるのは、ゲノム情報の薬物標的分子やバイオマーカー分子への変換であり、統合オミクス計測と高精度情報解析による多変量オミックスデータに基づく病態の理解と新規薬物標的となる鍵分子の情報科学的見極めです。単一生細胞およびオルガノイド中におけるこれらの分子群や細胞小器官および細胞そのものの動態を観察・定量化する新技術も開発されつつあり、創薬応用への期待も大きくなっています。

一方、従来の創薬研究には、標的指向性を有する低分子化合物の利用が主流でしたが、近年、生理活性ペプチド等の中分子化合物、抗体等の高分子化合物、さらには核酸医薬や細胞医薬等を利用した次世代創薬への期待も大きく、高精度なリガンドータンパク質のドッキングシミュレーションやADMEを予測しうるAI創薬のような基礎と臨床をより太くつなげる次世代トランスレーショナル研究も求められています。

このような背景の下、本プロジェクトでは2つの分野が開設されました。バイオ医薬品化学分野は、京大院薬の強みの一つである有機化学やDDS研究と医薬健栄研の強みの一つであるバイオ医薬品創製技術を融合することで、次世代の創薬モダリティを開発することを目標としています。

創薬プロテオミクス分野は、京大院薬の高いプロテオミクス・分析化学の技術と、医薬健栄研の臨床検体解析技術を融合させることで、新たな創薬標的を発見することを目標としています。この2つの分野が協力して研究を進めることで、医薬品創製につながる、実践的な創薬技術を開発していくことを目指しています。