Research

Identification of a Novel Indoleamine 2,3-Dioxygenase Inhibitor Bearingan Eight-Membered Ring Fused Indole Scaffold and Its Structure Activity Relationship

免疫抑制性分子として知られている酵素IDO1は腫瘍細胞に高発現していることが報告されており、その発現上昇により免疫担当細胞の機能を阻害します。IDO1の酵素活性の抑制により、宿主免疫応答を高めることが可能と考えられるため、IDO1阻害剤はガン治療等に有効であると期待されています。我々は、当研究室が保有する化合物ライブラリーから抽出したヘテロ環化合物群のスクリーニングにより、良好なIDO1阻害活性を有するヒット化合物1を見出しました。続いて、1をもとにした構造活性相関研究を行い、活性発現に重要な置換基の情報を得るとともに1と同等の活性を有する化合物を複数見出すことに成功しました。
Heterocycles 103(1) 331-347. (2021)

Structure–activity relationship study of 4-(thiazol-5-yl)benzoic acid derivatives as potent protein kinase CK2 inhibitors

プロテインキナーゼCK2は腫瘍の増殖に関与することが報告されており、がん治療の新規ターゲットとして近年期待が高まっています。当研究室を含む共同研究グループはこれまでに、バーチャルスクリーニングにより見出されたヒット化合物の構造最適化により、強力なCK2阻害活性を示すチアゾリル安息香酸誘導体(1)を見出しています。今回我々は、仲西教授グループ(近畿大学薬学部)の計算化学的支援を受けながら、安息香酸部位の構造活性相関研究を実施し、良好な細胞増殖阻害活性を有する新規誘導体(2)の同定に成功しました。
Bioorg. Med. Chem. 24(5) 1136-1141. (2016)

Investigations of possible prodrug structures for 2-(2-mercaptophenyl)tetrahydropyrimidines: reductive conversion from anti-HIV agents with pyrimidobenzothiazine and isothiazolopyrimidinescaffolds

当研究室では、ピリミドベンゾチアジン骨格を有するPD 404182とベンゾイソチアゾロピリミジンが、同程度の抗HIV活性を示すことを報告しています。この知見をもとに両誘導体の生物活性評価条件での化学的安定性を評価したところ、細胞質内の還元的環境を模倣した条件で両化合物が速やかにチオフェノール誘導体へ変換されることを明らかにしました。すなわち、両骨格はプロドラッグ様化合物として共通のチオフェノール誘導体を生じ、同一の標的分子や作用機序を介して抗HIV活性を示す可能性が示唆されました。
Org. Biomol. Chem. 13(16) 4706-4715. (2015)

Identification of anti-HIV agents with a novelbenzo[4,5]isothiazolo[2,3-a]pyrimidine scaffold

当研究室では、ベンゾチアジンイミン骨格を有するPD 404182およびその誘導体が、強力な抗ウイルス作用を示すことを報告しています。この構造活性相関研究の過程で、S-N結合を特徴とする新規複素環骨格化合物ベンゾイソチアゾロピリミジンを取得し、PD 404182と同等の抗HIV活性を示すことを見出しました。新たな化学合成経路を確立するとともに、構造活性相関研究により約6倍抗HIV活性が向上したフラン環やm-メトキシカルボニルフェニル基を有する誘導体を同定しました。また、このベンゾイソチアゾロピリミジン誘導体は、ウイルスの吸着・膜融合過程を含む感染の初期段階を阻害していることが示唆されました。
Bioorg. Med. Chem. 23(7) 1447-1452. (2015)

Optimization of Diaryl Amine Derivatives as Kinesin Spindle Protein Inhibitors.

有糸分裂に関与するキネシンKSPに対する阻害剤は、チューブリン阻害剤と比較して副作用が低減された抗癌剤となることが期待されています。我々は、ジフェニルアミン型KSP阻害剤の構造要素を修飾した各種誘導体を設計し、構造最適化研究を実施しました。その結果、より強力なKSP阻害活性を有するチオモルホリン-3-オン誘導体、及び、生物活性と水溶性のバランスに優れたベンゾアゼピン-2-オン誘導体を見出しました。
Bioorg. Med. Chem.22(12) 3171-3179. (2014)

Kinesin Spindle Protein Inhibitors with Diaryl Amine Scaffolds: Crystal Packing Analysis for Improved Aqueous Solubility.

キネシンモータータンパク質の一種であるKSPは、中心体の分離など細胞分裂において重要な役割を果たしており、新たな抗癌剤の分子標的として注目を集めています。これまでに見出した縮環インドール型KSP阻害剤について構造最適化研究を行い、強力なKSP阻害活性と水溶性の向上を同時に実現する新規ジアリールアミン誘導体を同定しました。また、結晶パッキングにおけるファンデルワールスエネルギーの低下がジアリールアミン誘導体の水溶性の向上に寄与することを明らかにしました。
ACS Med. Chem. Lett. 5(5) 566-571. (2014)

Design and synthesis of biotin- or alkyne-conjugated photoaffinity probes for studying the target molecules of PD 404182.

PD 404182は、HIV-1、HIV-2、HCVなどに対する幅広い抗ウイルス活性を示すことが知られています。我々は、PD 404182の標的分子の同定を目的として、PD 404182のベンゼン環部位、及び、アミジン環部位にベンゾフェノンとビオチン、もしくは、ベンゾフェノンとアルキンを配置した光反応性プローブを設計・合成しました。HIV-1を持続感染させたH9細胞(H9IIIB)に対し、開発したプローブを用いてラベル化実験を行ったところ、PD 404182特異的に検出される8種類のタンパク質を見出しました。
Bioorg. Med. Chem. 21(7) 2079-2087. (2013)

Concise synthesis and anti-HIV activity of pyrimido[1,2-c][1,3]benzothiazin-6-imines and related tricyclic heterocycles.


ピリミドベンゾチアジン誘導体は、HIVやHCVに対して抗ウイルス作用を示すことが知られています。今回我々は、以前開発し本化合物の分岐的合成法を用いて、チアジンイミン骨格、ベンゼン環、アミジン環に様々な官能基を導入した誘導体を合成し、抗HIV活性を評価しました。その結果、チアジンイミン骨格のヘテロ原子の配列と、縮環構造が抗HIV活性の発現に重要であることがわかりました。また、ベンゼン環やアミジン環に疎水性の官能基を導入した場合に、活性の向上が見られ、最終的に2倍の抗HIV活性を有する誘導体を取得しました。続いて、本化合物の抗HIV活性を詳細に検討したところ、この化合物がウイルスの感染初期に効果を示すこと、および、HIV-2に対しても高い感染阻害活性を示すことがわかりました。
Org. Biomol. Chem. 10(33) 6792-6802. (2012)

Structure-based design of novel potent protein kinase CK2 (CK2) inhibitors with phenyl-azole scaffolds.

CK2は、細胞増殖の促進とアポトーシスの抑制を含む複数の機能により腫瘍増殖に関与するプロテインキナーゼです。我々はCK2を標的とする癌治療薬の創製を目的として、新規CK2阻害剤の探索を行いました。バーチャルスクリーニングにより、約300万化合物のデータベースから中程度のCK2阻害活性を有するヒット化合物1を見出しました。続いて、X線結晶構造解析及び計算化学的アプローチを利用した分子設計と構造活性相関研究を行うことにより、強力なCK2阻害活性を示すフェニルチアゾール誘導体2を同定しました。
J. Med. Chem.55(6) 2899-2903. (2012)

Structure-activity relationships of carboline and carbazole derivatives as a novel class of ATP-competitive kinesin spindle protein inhibitors.

キネシンモータータンパク質ファミリーの1つであるKSPは、中心体の分離・移動や紡錘体の形成など細胞分裂において重要な役割を果たしています。KSPを阻害することにより、細胞周期はM期で停止して、アポトーシスが誘導されること から、KSPは新たな抗癌剤の分子標的として注目を集めています。今回我々は、ビフェニル型構造を有するKSP阻害剤の自由回転可能な結合軸を環構造導入により固定化した各種誘導体をデザインし、構造活性相関研究を展開しました。その結果、β-カルボリン誘導体1およびラクタム環のアミド基を2位に有するカルバゾール誘導体2が極めて強力なKSP阻害活性を示すことを見出しました。さらに、阻害機構の検討を行い、これらがATP競合的に作用するKSP阻害剤であることを明らかにしました。
J. Med. Chem. 54(13) 4839-4846. (2011)

Kinesin spindle protein (KSP) inhibitors with 2,3-fused indole scaffolds..

微小管モータータンパク質Eg5は、細胞分裂期において重要な役割を果たしており、新たな抗癌剤の分子標的として注目を集めています。Eg5阻害活性を示す天然物もしくはその類縁化合物として、複雑な化学構造を もつterpendole E などが報告されていました。我々は一連の化合物の共通構造から、Eg5阻害活性に必要な最小構造が縮環インドール構造であると想定し、これらを出発点とするEg5阻害剤の構造活性相関研究を展開し ました。その結果、2位もしくは3位に置換基を有するカルバゾール誘導体やβ-カルボリン骨格を有する天然物がEg5阻害活性を示すことを見出しました。[PubMed]
J. Med. Chem. 53(13) 5054-5058. (2010)

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