研究内容

DNAマイクロアレイ技術や血中がん細胞(CTC)捕捉技術などの先端ナノ技術を基盤とし、バイオ技術と組み合わせて新規の創薬ターゲットや診断マーカーの探索を目的とする。医学研究科との連携を中心に、質の高い臨床検体や培養細胞を解析対象とすることにより、各種がんの診断マーカー・分子標的薬の創生を目指している。具体的には以下に示すような研究活動を行っている。

 

 1. 食道がんの分子標的探索と抗体作製

microRNAの発現をマイクロアレイにより、食道がんの臨床検体や培養細胞について正常細胞と網羅的に比較し、大きい変化を示したmicroRNAから、それがターゲットとして制御するタンパク質を探索する。選出されたタンパク質に対して、様々な制御手段による確認の結果、miR-210、FGFRL1の組み合わせを見出した。このFGFRL1を制御するモノクローナル抗体を作成し、その効果・メカニズムを研究している。

 2. CTC捕捉解析

血中がん細胞には転移する特徴があり、その前段階として血液中またはリンパ管中にがん細胞が存在し、血液循環腫瘍細胞(Ciculating Tumor Cell:CTC )と呼ばれる。これを捕捉して解析することにより、がんの早期診断、悪性度評価、治療選択、医薬の有効性判断が可能になると期待され、その及ぼす効果は大きい。弊研究室では富山工試と共同で開発した独自チップに様々の抗体を組み合わせることによりがん細胞への感度特異度を高めつつ、医学部との連携により臨床サンプルを用いて研究を進めている。