はじめに
【研究室紹介】
構造生物薬学分野は、2002年度に初代・加藤博章教授によって開設されました。2026年度より、二代目の小川治夫教授が主宰を務めています。当研究室では、創薬の基盤となる生命現象の分子メカニズムを、タンパク質の立体構造解析を通じて解明することを目指し、日々研究に取り組んでいます。
構造生物学から構造薬理学へ
構造生物学とは、タンパク質を中心とした生体高分子の機能を、その立体構造に基づいて解明する学問です。単に立体構造を決定するだけでなく、機能の背後にある「原理」を明らかにすることが私たちの目標です。 かつて生物学において構造生物学による革新が起きたように、現在は膜受容体や膜輸送体の構造が可視化されたことで、薬の作用を構造レベルで理解する「構造薬理学」が実現しています。まさに薬学は今、構造生物薬学の時代を迎えていると言えるでしょう。
最先端技術による挑戦
近年、2017年のノーベル化学賞の受賞対象となったクライオ電子顕微鏡技術により、重要分子の立体構造解析が飛躍的に進んでいます。当研究室でもこの最先端技術を積極的に導入し、解析困難な分子や超複合体の構造解明に挑んでいます。
具体的な研究対象と独自のアプローチ
私たちは、薬学(薬理学)において特に重要な膜受容体(receptors)および膜輸送体(ion channels, ion pumps, transporters)を主な研究標的としています。具体的には、以下の分子を対象としています。まず、心筋収縮の中心的役割を担い、先天性疾患変異が致死性不整脈の要因ともなる巨大な筋小胞体Ca²⁺チャネル「心筋型リアノジン受容体」。次に、血圧・体液量の調節に不可欠であるとともに軟骨代謝にも重要な役割を果たし、その先天性疾患変異が低身長症(先端肢節異形成症)の要因ともなるナトリウム利尿ペプチド受容体(NPR)ファミリーおよびグアニルシクラーゼ(GCase)受容体ファミリー。そして、薬物動態の鍵を握る重要分子であるABCトランスポーターです。
これらを対象に、クライオ電子顕微鏡法およびX線結晶構造解析を軸として作動機構の解明を目指しています。また、難易度の高い膜タンパク質の調製手法の開発や、有機化学分野との共同研究による基質アナログの設計・合成など、多角的なアプローチで創薬研究を推進しています。
私たちの次世代を切り拓く研究に、ぜひご期待ください。
研究テーマ
リンク先に詳細な説明があります。
- 心筋型リアノジン受容体の構造薬理学
- NPR/GCase受容体の構造薬理学
- ATP Binding Cassette (ABC)トランスポーターの構造薬理学
- クライオ電顕での新規解析技術の開発