現在、薬品動態制御学分野で推進されている研究は、広い意味では全てドラッグデリバリーシステムの開発に関わる研究と位置づけられる。しかし、具体的に見ると、1)研究の目的(動態解析法・理論の開発、動態制御技術の開発など)、2)対象医薬品(タンパク質医薬品、遺伝子医薬、一般薬物など)、3)治療対象(癌、肝障害など)、4)対象動態レベル(全身、臓器、細胞)、5)対象部位(肝臓、脳など)、6)基盤となるサイエンス(コンピュータ、遺伝子操作技術など)、7)利用する製剤技術(高分子キャリヤー、微粒子製剤、吸収促進剤など)の様に、様々な観点より整理分類され、個々の研究テーマはそれぞれの交点として位置づけられる。

こうした研究テーマの内、代表的なものを以下に挙げる。

  1. 治療の最適化を目的とする薬物の体内動態制御法、製剤設計法の開発
  2. 多糖高分子の抗炎症作用に基づく治療法開発
  3. 機械学習法を利用したADME/Tox予測
  4. 細胞性医薬品のターゲティングシステムの開発
  5. MEMS技術のDDSへの応用