実践創薬研究プロジェクト 京都大学大学院薬学研究科

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京都大学大学院薬学研究科 バイオ医薬品化学分野/
医薬基盤・健康・栄養研究所 先進バイオ医薬品プロジェクト

研究概要

抗体医薬を含むバイオ医薬品は、医薬品産業の中で非常に重要な役割を果たしています。当分野では、薬学研究科での創薬有機化学分野との連携を通じ、蛋白質工学と有機合成化学の技術を利用することで、従来型の抗体医薬品を超えた新たな機能を創出するための分子創製技術を研究しています。また、医薬基盤研究所でのプロジェクト間連携を通じて、バイオ医薬品の作用メカニズムを調べ、これを次世代創薬につなげるための基礎研究を進めています。

主な研究テーマ

①二重特異性抗体作製に関する技術開発

二重特異性抗体とは、2つの異なる標的に結合するように人工的に改変した抗体です。本研究室では、多様な二重特異性抗体作製法がある中で、既存法の改良や、全く新しい方法の開発を進めています。


②新機能を有するバイパラトピック抗体の開発

バイパラトピック抗体とは、二重特異性抗体作製技術を利用した、抗原分子の2つの異なるエピトープに結合する人工抗体のことです。分子間/分子内架橋することができるので、従来型抗体にはない固有の機能を示すことが知られています。本研究室では、医薬基盤研の独自技術によるエピトープ網羅的セレクションを利用することで、新機能を有するバイパラトピック抗体をデザインする技術を開発しています。


③バイパラトピック抗体を利用したターゲティング技術の開発

バイパラトピック抗体を形成する2つの抗体可変領域は抗原の異なる2点に結合するので、両者それぞれに交差反応するユニットを融合すると、2段階に抗原へ投与させると抗原上でのバイパラトピック抗体形成が観察されます(図)。このシステムを利用した新しい分子ターゲティング技術を研究しています。


④抗体最適化、相互作用解析を通じた創薬支援

抗体が抗原を認識するための原子レベルの知見を得るために、分子間相互作用の精密解析を手がけています。この技術を利用した創薬支援や、親和性改変のための基礎技術を研究しています。


競争的資金等

・AMED創薬基盤推進研究事業「バイパラトピック抗体のパネル化による機能的人工抗体の探索デザインの高度化」(代表:秋葉宏樹 H30-R4)
 TNF受容体スーパーファミリー、特にTNFR2やCD30を標的とするバイパラトピック抗体の取得とその評価を進めています。

・JSPS 基盤C「化学的連結法による低分子化抗体ターゲティングシステムの開発」(代表:秋葉宏樹 R3-R5)
 抗原上での化学連結を利用した低分子化抗体の利用についての基礎研究を進めています。

・AMED BINDS「精密合成技術に基づくハイブリッド型ニューモダリティ創製の創薬支援」(代表:竹本佳司 R4-R8)
 主に抗体に対するコンジュゲート化学の技術高度化とこれを利用した支援を進めています。

・その他、非公開の産学共同研究を行っています。

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