産学連携による演習科目の実際とその教育効果

「医薬品開発プロジェクト演習U」の実際

株式会社シミックにおける新入社員教育用教材を導入し、株式会社シミックの教育研修部より3名の講師を招いて、「医薬品開発プロジェクト演習U」を実施しました。株式会社シミックのOBの方にも参加いただきました。また、プログラムにはありませんが、第2日目、独立法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に勤務経験のある講師による講義も実施しました。本科目は、平成21年度にはインターンシップとして実施したもので、学生の方々からの要望を踏まえて、内容を整備しました。

本プログラムを、別名「VIPによる治験モニタリング体験プログラム」と名付けました。

VIPとはvirtual investigational product、すなわち仮想治験薬を意味します。
 

  • 第1日目
  • 学生個々に、治験実施計画書、症例報告書、同意説明文書および同意文書を提供しました。テーマは「ボグリボースを対照とした2型糖尿病患者に対するCMC-5719第V相二重盲検比較試験」です。これらの資料は、株式会社シミックにおける新入社員教育用の教材であり、実物と同じ仕様に作成されています。
     

  • 第2日目
  • 治験責任医師への打診、医局説明会で用いる資料は、学生が各自、治験実施計画書、症例報告書、同意説明文書および同意文書を用いて作成しました。
     

  • 第3日目
  • 参加した全ての学生に、治験責任医師への治験の打診をロールプレイ方式で、また、医局説明会を想定してプレゼンテーションを実践していただきました。医師やその他の医療スタッフ役は、株式会社シミックから招いた講師あるいは本学の教員が務めました。

 

                                             詳細プログラムは、こちら(PDF)

 

その教育効果

本プログラム終了後、学生に対してアンケート調査を実施しました。評判は非常によいと考えられました。本事業で立ち上げた「医薬品開発学」の講義科目に加えて、本演習を行うことについても、有意義であるとの回答でした。また、講師の先生方のお話の内容も教材の内容も新鮮であった、との回答でした。本プログラムは、より有用な医薬品を開発できる実践型人材を育成するためにも、より迅速に医薬品を開発できる実践型人材を育成するためにも有用との評価でした。

講師の先生方のお話の内容も教材の内容も新鮮との評価ですが、具体的にどの点が新鮮であったかも調査しました。医薬品開発に関して、一般的な講義からは入手できない情報が入手できることが新鮮であり、この点、少人数、短期集中による演習にメリットがあるように感じました。また何よりも、実際の医薬品開発の現場の方々による講義、実際の医薬品開発の現場で使用する文書類(治験実施計画書、症例報告書、同意説明文書および同意文書)の利用により、期待以上の教育効果があったものと推察しました。

プログラムの終了時に、学生の方々から、本プログラムに関する感想、意見を伺いました。非常に有意義なプログラムであったとの評価でした。

                                             アンケート結果は、こちら(PDF)

 

 

医療サービス関連分野における新規産業のイノベーション

本プログラムを履修した学生を対象に、医療サービス関連分野において必要な、新しい産業やシステムなどを考えていただきました。

より有用な医薬品をより迅速に開発するために、CROやSMO以外の治験をサポートする産業(PMDAの支援など)、治験専門の医療機関、必要な医薬品がどれであるかを調査する機関、市販後調査を主導する機関、エビデンスを収集する機関、などが必要であるとの意見がありましたが、一方で、現在の大学における教育の充実を求める声もありました。

                                             アンケート結果は、こちら(PDF)