当研究室の論文がFEBS J.誌に掲載されました

タイトル「Structural insight into hormone recognition by the natriuretic peptide receptor-A」

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点対称への変身が受容体によるホルモン認識の鍵! ―新規心不全治療薬へ向けた手がかりを提示―

図 心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)がその受容体NPR-Aにより認識される機構 (京大プレスリリースより引用)

高輝度放射光施設SPring-8を利用したX線結晶解析により、「心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の受容体NPR-Aのホルモン認識機構」を明らかにしました。心房から分泌されるANPは血圧や体液量の調節など生命の維持に不可欠な働きを担うホルモンで、NPR-AがANPを認識する機構の解明は医科学的に大きな意味を持ちます。これまで「点対称」に向き合った2分子のNPR-Aが1分子のANPを結合することは明らかでしたが、ANPのアミノ酸配列には特に規則性は見出せず、「点対称」に配置した2分子のNPR-Aが対称的ではないANPをどのように認識するかは未解明でした。研究グループは、NPR-AとANPの複合体構造を高分解能で決定し、結合したANPが「擬似的に点対称」の形をとることで「点対称」に配置した2分子のNPR-Aへ認識されることを世界で初めて明らかにし、この疑問を解決しました。心不全のための新規創薬も期待される大変大きな成果です。