希土類金属錯体を母体とする光イメージングプローブの開発

希土類金属錯体を母体とする光イメージングプローブの開発

蛍光イメージング法は空間・時間分解能が高く、安全で操作も簡便であるため、インビボ分子イメージングのための新たなモダリティとして注目を集めている。しかし、

  1. 光は生体組織透過能が低い
  2. 自家蛍光や、散乱した励起光などのノイズがある
  3. 励起光による組織傷害がしばしば起こる

などの問題点がいまだ残っている。

そこで我々は、上記問題点を解決することを目的として、希土類錯体を用いた新規蛍光プローブ(4AMF-DOTA(Nd)、PAN-DOTA(Yb))を開発した。すなわち、蛍光プローブ中にNdまたはYb錯体を発光中心として導入することで、

  • 生体組織透過能の高い近赤外領域の蛍光による問題点1、2の克服
  • 受光部位から発光部位へのエネルギー移動過程を経ることで大きなストークスシフトが得られることによる問題点2の克服
  • 受光部位に長波長領域の吸収を持つ化合物を選択することによる問題点3の克服

を達成することに成功した。

さらに最近では、4AMF-DOTA(Nd)をリード化合物とし、マレイミドを導入することで、タンパク質等に対する蛍光標識試薬として用いることの出来る新規蛍光化合物(M-AMF-DOTA(Nd))の開発に成功している。

4AMF-DOTA
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関連文献

  • Synthesis of a New NIR Fluorescent Nd Complex Labeling Agent.
    J Fluoresc. 2010 Jan;20(1):225-34.
  • NIR fluorescent ytterbium compound for in vivo fluorescence molecular imaging.
    Luminescence. 2010 Jan;25(1):19-24.
  • Development of a novel neodymium compound for in vivo fluorescence imaging.
    Luminescence. 2007 Sep-Oct;22(5):455-461.

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