Research

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2006

A novel one-pot reaction involving organocopper-mediated reduction/transmetalation/asymmetric alkylation, leading to the diastereoselective synthesis of functionalized (Z)-fluoroalkene dipeptide isosteres.

有機銅試薬による一電子還元、連続するトリフェニルスズクロリドによるトランスメタル化、上斉アルキル化反応によりOne-Potで効率よく(Z)-フルオロアルケン型ジペプチドイソスターの高立体選択的合成法の開発に成功 しました。本合成法ではアミノ基構築の立体化学と還元/アルキル化における上斉補助基の立体化学の組み合わせにより、(L,L) 型だけでなく (L,D)、(D,D)、(D,L) 型イソスターが合成可能になります。また様々な求電子 剤を用いることで多くの類縁体合成が可能であることから、多様性に富んだペプチドミメティックスライブラリーを構築することができます。[Links]
Chem. Commun. (Camb)454720-4722 (2006)

Structure-activity relationship study on small peptidic GPR54 agonists.

-ペンタペプチドGPR54アゴニストの構造活性相関研究-
当分野ではGPR54の天然ペプチドアゴニストmetastinの低分子化を行い、新規GPR54アゴニストとしてN、C両末端をアミド基に修飾されたペンタペプチド誘導体を見出しました。これらのGPR54アゴニストとしての構造的要求を調 べる目的で、各アミノ酸残基について側鎖官能基の変換を行うとともに、C末端アミド基の化学修飾を施した誘導体の合成および活性評価を行いました。[Links]
Bioorg. Med. Chem.14(22) 7595-7603 (2006)

Stereoselective synthesis of (z)-alkene-containing proline dipeptide mimetics.

α-アミノ酸より誘導したラクタム1に対し、有機銅試薬によるSN2’型アルキル化反応及びパラジウム触媒による鈴木-宮浦カップリングを行いプロリンの側鎖に相当する五員環を有する二環性ラクタム4へ と誘導し、ラクタム4のアミド結合を切断することにより、Xaa-Pro型(Z)-アルケンイソスター5の位置及び立体選択的合成に成功しました。本合成法により、種々のアミノ酸を出発原料とすることで様々な(Z)-アルケン含有cis型プ ロリンミメティックの合成が可能になります。[Links]
J. Org. Chem. 71(13) 4969-4979 (2006)

Stereoselective synthesis of 3,6-disubstituted-3,6-dihydropyridin-2- ones as potential diketopiperazine mimetics using organocopper- mediated anti-S(N)2' reactions and their use in the preparation of low-molecule CXCR4 antagonists.

αアミノ酸より誘導したγ-phosphoryloxy-α,β-unsaturated-δ-lactamに対し、有機銅試薬を用いたanti-SN2’反応により、多価官能基を有するジケトピペラジンミメティックを高立体選択的に合成することに成功しました。またanti-SN2’反応において LiClを添加すると位置選択性が大幅に向上することから、LiClとCuがクラスターを形成し反応場を固定していることが示唆され、その仮説はDFT計算により支持されました。さらに確立した合成法をCXCR4アンタゴニスト創製研究へと応用し 、新規低分子化合物の創出に成功しました。[Links]
J. Org. Chem. 71(10) 3942-3951 (2006)

Synthesis of (z)-alkene and (e)-fluoroalkene-containing diketopiperazine mimetics utilizing organocopper-mediated reduction-alkylation and diastereoselectivity examination using DFT calculations.

有機銅試薬によるone-pot還元/アルキル化反応により (Z)-alkene及び(E)-fluoroalkene含有ジケトピペラジンミメティックスを立体選択的な合成に成功しました。嵩高い求電子剤を用いた際には、3,6-trans体が優先的に得られました が、比較的小さな求電子剤を用いた際に選択性が逆転し3,6-cis体が優先的に得られました。このcis選択性はoxa-π-allyllithium complexにおいてカチオン*π相互作用による安定化が寄与していることがDFT計算により 示唆されました。[Links]
J. Org. Chem. 71(11) 4118-4129 (2006)

Identification of a new class of low molecular weight antagonists against the chemokine receptor CXCR4 having the dipicolylamine-zinc(II) complex structure.

-二核亜鉛錯体構造を有する非ペプチド性低分子CXCR4アンタゴニストの開発-
当分野では、これまでにHIV感染や癌の転移など様々な疾病に関与することが知られているケモカイン受容体CXCR4をターゲットとしたペプチド性アンタゴニストの創製研究を行ってきました。しかし、ペプチド性化合物は一般的に経口吸収性や 体内動態が優れないことから、非ペプチド性アンタゴニストの開発は重要な研究課題となっています。本研究では、リン酸化ペプチドに特異的に結合することが知られている蛍光プローブを基にした、分子内に二つの亜鉛原子が配 位した二核亜鉛錯体zinc(II)-2,2’-dipicolylamine(Dpa)を有する化合物群の構造活性相関研究を行っています。[Links]
J. Med. Chem. 49(11) 3412-3415 (2006)

Development of a linear type of low molecular weight CXCR4 antagonists based on T140 analogs.

ケモカイン受容体CXCR4はHIV感染や癌の転移、慢性関節リウマチなど様々な疾患に関与していることが知られています。当分野では、以前より強力なCXCR4アンタゴニスト活性を有する14アミノ酸からなるペプチド性化合物T140 を創出しています。本研究では、T140のファルマコフォアと考えられる残基(二つのアルギニン残基とナフチルアラニン残基)を有し、さらに分子内に、T140においてN末端に修飾することで生体内での安定性が向上することが分かっている p-fluorobenzoyl基などの様々な修飾を加えた化合物を合成し、活性評価を行っています。[Links]
Org. Biomol. Chem.4(12) 2354-2357 (2006)

Unequivocal synthesis of (Z)-alkene and (E)-fluoroalkene dipeptide isosteres to probe structural requirements of the peptide transporter PEPT1.

-シス型アミド等価体としてのアルケン型ジペプチドイソスターの合成、およびペプチドトランスポーターPEPT1の機能解析への応用-
アルケン型イソスターはペプチド結合に特有のcis-/trans-異性化を起こさないため、ペプチド構造機能解析における有用なツールであると考えられます。しかし、cis-アミドを模倣したアルケン型イソスターの効率的合成法が存在しなかっ たため、アミド結合の構造解析を目的としたアルケン型イソスターの応用例は稀でした。そこで、新たにcis-アミド等価体である(Z)-アルケン型および(E)-フルオロアルケン型ジペプチドイソスターの効率的合成法を開発しました。さらに、t rans-アミド模倣型イソスターとともに、PEPT1に対する親和性を評価し、PEPT1の基質認識特性について考察を行いました。[Links]
Org. Lett.8(4) 613-616 (2006)

Cysteine-derived s-protected oxazolidinones: potential chemical devices for the preparation of peptide thioesters.

プロテインスプライシングは翻訳後に自己触媒作用で起こるプロセスであり、その反応機構が明らかにされつつあります。このプロセスではInteinと呼ばれる内部配列がhost sequenseから切り出され、残りの配列 (Ex tein) 同士が縮合し、新たなペプチドが生成します。このシステムを模倣し、我々は人工タンパク質スプライシングシステムの構築、合成展開を目的とする研究の一環として、ペプチド結合活性化とN-Sアシル転移能 を併せ持つ機能性ユニットとしてシステイン由来アシルオキサゾリジノンのチオエステル合成、ペプチド合成における有用性を見出しました[Links]
Org. Lett. 8(39) 467-470 (2006)

Potassium carbonate- promoted stereospecific 5-endo-trig cyclization of unactivated allenes in the absence of any transition metals.

遷移金属触媒を用いたアレンの環化反応は、複素環を立体選択的に構築するための有用な手法として広く用いられています。一方で、活性化されていないアレンに対する求核置換反応はほとんど検討されていないのが現 状です。我々は分子内に窒素求核部位を有するアレンを用いて塩基のみによる閉環反応を検討した結果、アレンを炭酸カリウム存在下DMF中で加熱するのみで、5-エンド型環化異性化反応が効率よく進行することを見出し ました。本反応を軸上斉内部アレンに適応すると、対応するピロリン誘導体が立体特異的に得られることを明らかにしました。[Links]
Org. Lett.8(5) 947-950 (2006)

Design and synthesis of downsized metastin (45-54) analogs with maintenance of high GPR54 agonistic activity.

-GPR54アゴニストmetastin誘導体の低分子化研究-
GPR54は癌転移抑制、および内分泌系疾患治療における魅力的な創薬標的です。当分野はGPR54の天然ペプチドリガンドmetastinの活性部分構造metastin (45-54)をリードとする構造活性相関研究に着手しました。Metastin (45 -54)のアラニンスキャンより、C末端側の5つのアミノ酸残基が特に活性発現に必要であることが判明しました。次に文献情報に基づき、N末端に塩基性官能基、C末端にRWアミド骨格を有する種々の短鎖ペプチドを分子設計、合 成および活性評価を行った結果、metastinと同等の活性を示すGPR54アゴニストとして、ペンタペプチド誘導体を見出しました。 [Links]
Org. Lett.8(5) 947-950 (2006)