Research

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2007

Development of copper-mediated allylation of γ-activated-α,β-unsaturated lactam toward peptide mimetic synthesis.

両論量もしくは触媒量の銅塩存在下、アリルボロネートとLiOi-Prを用いることで、γ位が活性化されたα,β-上飽和ラクタムへの選択的anti-SN2’アリル化反応の開発に成功しました。また本反応を、以前に報告したcis-Proミメティック の合成法に応用することで、Ser-Pro 配列を有する(Z)-アルケン含有cis型プロリンミメティックをより少ない工程数で合成することが出来ました。本反応は、種々の基質への銅触媒によるアリル化反応に対しても応用できる可能 性があると思われます。[Links]
Tetrahedron lett.48(18) 3221-3224 (2007)

One-pot synthesis of carbazoles by palladium-catalyzed N-arylation and oxidative coupling.

物由来のアルカロイド中にはカルバゾール骨格を有するものも多く、抗腫?、抗炎症、抗菌作用など様々な生物活性を示すものが多く知られています。しかしながら、既知の方法ではカルバゾ ール誘導体を得るのに数工程必要であるため、効率的な合成法の開発が望まれています。そこで我々は、パラジウム触媒を用いたN-アリール化とC-H 活性化を連続的に行うone-pot合成法の開発を行 いました。その結果、様々な置換基を有するカルバゾール誘導体の効率的合成法の開発に成功し、同時に、C-H活性化が顕著な置換基効果の影響を受けている ことを見出しました。[Links]
Chem. Commun.32 4516-4518 (2007)

Gold-catalyzed hydroarylation of allenes: a highly regioselective carbon-carbon bond formation producing six-membered rings.

金触媒は通常上活性な上飽和結合を活性化し、新たに炭素―炭素結合を形成させることが出来るため、強力な合成ツールとして近年盛んに研究が行われています。我々は芳香環とアレンによる環化の検討過程 で各種遷移金属を検討し、金触媒を用いると効率的に環化が進行することを見出しました。また酢酸を溶媒として用いることで反応性が劇的に向上することを見出し、重水素化実験を行うことにより、酢酸の反応促 進機構を明らかにしました。[Links]
Org. Lett.9(23) 4821-4824 (2007)

Zipper-mode double C-H activation: palladium-catalyzed direct construction of highly-fused heterocyclic systems.

C-H活性化反応は原子効率の高い炭素*炭素結合形成反応として注目されていますが、連続C-H活性化反応に成功した例はほとんど知られていません。我々は、パラジウム触媒を用いたZipper型連続C-H結合活性 化反応を検討し、直接的に縮環型芳香族化合物を合成する新しい手法の開発に成功しました。ブロモシンナミルアルコールとブロモアニリンの縮合により容易に得られる基質に対して、触媒量の酢酸パラジウムと炭酸セシウム をジオキサン中で作用させると、ナフトインドール誘導体を高収率で得られました。さらに、シンナミルアルコール部位にベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール等の複素環を導入することで、対応する三環性及び四環性ヘテロ芳 香環を容易に得られることを見出しました。[Links]
Org. Lett.9(23) 4813-4815(2007)

Versatile use of acid-catalyzed ring-opening ofβ-aziridinyl-α,β enoates to stereoselective synthesis of peptidomimetics.

触媒量のTMSOTf存在下、アルコールやチオールなどの求核剤、もしくはAcOHやNα-保護アミノ酸などの弱酸を用いたβ-aziridinyl-α,β-enoatesの位置及び立体選択的開環反応の開発に成功 しました。本反応をクライゼン転移やO,N-アシル転移反応、有機銅触媒によるanti-SN2’型アルキル化反応と組み合わせることにより、(E)-アルケン型ジペプチドイソスター (EADI)を含むペプチドミメティックスを効率よく合 成することが可能になります。また、固相上での開環反応によるEADIの合成についても検討しました。[Links]
Tetrahedron, 63(37) 9243-9254 (2007)

Facile synthesis of fluoroalkenes by palladium-catalyzed reductive defluorination of allylic gem-difluorides.

触媒的炭素―フッ素結合切断を伴うフルオロアルケン骨格の新規合成法の開発に成功しました。アリルジフルオリドに対し触媒量のEt3N及びPd錯体存在下、PhSiH3を作用させることで対応するフルオロアルケン骨 格が化学及び立体選択的に得られます。本反応は様々な官能基を有する基質に対し適用可能であり、温和な条件かつ非常に高い触媒効率で反応が進行します。また反応機構について検討したところ、本合成 法はPd触媒による還元的脱フッ素化反応及びEt3N触媒によるEtOHとPhSiH3の水素の発生を伴うカップリング反応の二つの触媒反応により成り立っていることが明らか になりました。[Links]
Org. Lett.9(17) 3465-3468 (2007)

Heck-type cyclization of oxime ethers: stereoselective carbon-carbon bond formation with aryl halides to produce heterocyclic oximes.

Heck反応はアルケンやアルキンに対して炭素*炭素結合を形成する有用な反応として有機合成に広く用いられています。一方で、炭素*ヘテロ原子多重結合に対する一般性の高いHeck型反応は知られて いませんでした。我々は、オキシムエーテルを有するアリールハライドを用いてパラジウム触媒による閉環反応を検討したところ、炭素*窒素二重結合へのHeck型反応が円滑に進行し、(Z)-型のインドリンオキシムが高選択 的に得られることをはじめて見出しました。オキシムエーテルの幾何異性は生成物に反映されないことから、反応の最終段階である脱離反応はパラジウムアミド中間体の立体反転を伴いながら進行しているものと考えられま す。本反応は縮環型インドールやベンゾフラノン誘導体の合成にも利用できる一般性の高い手法です。[Links]
Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 46(33) 6325-6328 (2007)

Design and synthesis of all diastereomers of cyclic pseudo- dipeptides as mimics of cyclic CXCR4 pentapeptide antagonists.

当研究室では、ケモカイン受容体CXCR4に対する強力なアンタゴニスト活性を有する14アミノ酸からなるペプチドT140及びT140を低分子化した環状ペンタペプチドFC131を創出しています。本研究では、さらなる低分子化合物の創 出を目的として、図のAような11員環構造を有する様々な化合物の合成を行い、その活性を評価しました。その結果、いくつかの化合物がCXCR4アンタゴニスト活性を示しました。これらの化合物は新規の低分子CXCR4アンタゴニストの開 発において可能性をもった構造になり得ると考えられます。[Links]
Org. Biomol. Chem. 5(12) 1915-1923 (2007)

A highly regio- and stereoselective formation of bicyclo [4.2.0]oct-5-ene derivatives through thermal intramolecular [2 + 2] cycloaddition of allenes.

アレンと多重結合間の [2 + 2] 型環化付加反応は古くから知られていますが、アレンの外側のπ電子を環化に利用した例は特殊なアレンを除いて知られていませんでした。我々は、分子内に二重結合や三重結合を 有するアレンを高沸点溶媒中で加熱するだけで、アレン外側のπ電子の環化付加反応により、ビシクロ[4.2.0]オクタン誘導体が高収率で得られることを見出しました。エンアレンの環化付加反応においては、オレフィン部分 の幾何異性は生成物に完全に転写されるのに対し、アレン部分の軸上斉は保持されませんでした。これらの結果は平面的なアリルラジカル部分を有するビラジカル中間体の存在を 示唆しています。[Links]
J. Org. Chem.72(12) 4378-4389 (2007)

SAR and QSAR studies on the N-terminally acylated pentapeptide agonists for GPR54

-ペンタペプチドGPR54アゴニストのN末端アシル基における(定量的)構造活性相関研究-
当分野ではGPR54の内在性リガンドmetastinの低分子化研究により、新規GPR54アゴニストとしてN末端をアシル化されたペンタペプチド誘導体を同定しました。このN末端アシル基が活性発現に対して重要な役割を果たしていると 当部位における詳細な構造活性相関研究を展開しました。その結果、強力な新規GPR54アゴニストとして4-フルオロベンゾイル誘導体を見出しました。また、合成した一連のペンタペプチド誘導体に対して定量的構造活性相 関解析を行い、N末端アシル基のGPR54アゴニスト活性への影響を精査しました。[Links]
J. Med. Chem. 50(14) 3222-3228 (2007)

Establishment and clinical application of enzyme immunoassays for determination of luteinizing hormone releasing hormone and metastin.

-黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)およびmetastinに対するELISA系の構築-
近年、metastinによるGPR54の活性化が癌細胞の転移抑制のみならず、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)の分泌促進に関与していることが明らかにされました。また、近年の報告によりGPR54の機能欠?が性 機能の未発達と関連が示唆されています。当分野では低ゴナドトロピン・性腺機能低下症(IHH)患者における血漿中のmetastinおよびLHRHの濃度を調べるために、それぞれの生理活性ペプチドに対する ELISA系を構築しました。[Links]
J. Pept. Sci. 13(6) 422-429 (2007)

Fmoc-based solid-phase synthesis of GPR54-agonistic pentapeptide derivatives containing alkene- and fluoroalkene-dipeptide isosteres

-アルケン型ジペプチドイソスター含有GPR54アゴニスト誘導体の合成と構造活性相関研究-
近年、当分野においてcis-アミドを模倣したアルケン型ジペプチドイソスターの効率的合成法を開発しました。このcis-アミド型ジペプチドイソスターの有用性を生理活性ペプチドに拡大するため、(Z)-アルケン型および(E)-フルオロアルケン 型ジペプチドイソスターを有するペプチドの合成、および誘導化合物の構造活性相関研究を行いました。具体的には、それぞれのジペプチドイソスターをFmoc保護した後、固相ペプチド合成法に応用することでGPR54アゴニスト誘 導体を調製しました。同様に、それぞれの幾何異性体も併せて合成し、GPR54アゴニストの活性コンフォメーション解析を行いました。[Links]
Biopolymers, 88(2) 272-278 (2007)

Direct synthesis of 2-(aminomethyl)indoles through copper(I)-catalyzed domino three-component coupling and cyclization reactions.

インドールは多くの天然物における核として構成されているので、薬理学的に非常に有用性をもっており、長い間多大な注目を集めています。特にアミノメチルインドールモチーフは生物学的活性をもつ鍵として存在して います。今回我々は、dioxane中Cu(I)触媒条件下で、2-Ethynylaniline誘導体、アルデヒド、二級アミンという三成分を用いることによって二位に置換基の存在するインドール誘導体の合成法の開発 に成功しました。[Links]
Angew. Chem. Int. Ed. Engl.46(13) 2295-2298 (2007)

Structure-activity relationships of cyclic peptide-based chemokine receptor CXCR4 antagonists: disclosing the importance of side-chain and backbone functionalities.

当研究室では、以前より強力なケモカイン受容体アンタゴニストである環状ペンタペプチド[cyclo(-D-Tyr1-Arg2-Arg3-Nal4-Gly5-)]とArg2のエピマー[cyclo(-D-Tyr1-Arg2-Arg3-Nal4-Gly5-)]を創出しています。本研究では、こ れら二つのペプチドのアミノ酸残基をアラニン置換やN-メチル化などによって置換し、それら置換した化合物と、元の活性化合物の構造解析による比較を行いました。その結果、活性の見られた置換化合物は元の化合 物と似たようなコンフォメーションをとることが推定され、活性発現に必要な分子の構造を推定することができました。[Links]
J. Med. Chem. 50(2) 192-198 (2007)

Bromoallenes as allyl dication equivalents in the presence or absence of palladium(0): direct construction of bicyclic sulfamides containing five- to eight-membered rings by tandem cyclization of bromoallenes.

我々は最近、ブロモアレンがパラジウム触媒とアルコール存在下においてアリルジカチオン等価体として機能する新しい反応性を見出しました。次に我々は、分子内に二つの求核部位を有するブロモアレンを用いれば連続環化反応 に展開できる可能性があると期待しました。分子内にスルファミドを有するブロモアレンの連続環化反応を検討した結果、パラジウム触媒が存在しなくても五及び六員環形成反応が円滑に進行し、対応する縮環型スルファミドを高収 率で与えることを見出しました。一方、パラジウム触媒存在下で行うと、アレンの中心炭素における最初の環化反応が進行し、環員数の異なる生成物が選択的に得られることを明らか にしました。[Links]
Chem. Eur. J.13(6) 1692-1708 (2007)

A novel oxazolidine linker for the synthesis of peptide aldehydes

-Oxazolidine Linkerを用いたペプチドアルデヒドの固相合成-
Leupeptinが発見されて以来、ペプチドアルデヒドはproteaseの阻害剤として注目を浴びてきました。アルデヒド水和物のジオール構造が、酵素の加水分解遷移状態に酷似しているため、酵素に対し高い親和性が期待できると考えられ ています。またペプチドアルデヒドは、ペプチドミメティクスのビルディング・ブロックとしても有用です。当分野ではアルデヒドをアミノエタノールで保護し、生成したオキサゾリジン環をさらにカーバメートで保護することにより、Fmoc strategyによる ペプチドの固相合成に通常用いられるTFA処理と同様の操作でペプチドアルデヒドが得られる方法を開発しました。[Links]
Int. J. Pep. Res. Ther. 13(1-2) 271-279 (2007)

A novel oxazolidine linker for the synthesis of peptide aldehydes

ヨウ化サマリウムによる分子内還元的アルキル化反応によりラクタム1を効率よく二環性ラクタム3へと誘導し、ラクチムエーテルを経由する開環反応によりα位のエピメリ化を伴わずに(Z)-アルケン含有cis型プロリンミメテ ィックの立体選択的合成に成功しました。ヨウ化サマリウムによる還元的アルキル化反応は添加剤及び溶媒に大きく依存し、DMPU-CH3CNを用いた場合に最もよい結果を与えました。また、DFT計算により還元的アル キル化反応の立体選択性発現についても検討しました。[Links]
Tetrahedron, 63(9) 2000-2008(2007)