2026年4月1日に
分野の特定助教に着任しました安髙理裕(あたか よしひろ)と申します。私は、熊本大学理学部で3年間学んだ後に同大学院へと進学し、2021年に熊本大学大学院自然科学教育部にて修士号を取得しました。その後、千葉大学大学院薬学研究院中分子化学研究室(現天然物創薬化学研究室)の石川勇人教授のもとで天然有機化合物の全合成研究を行い、2024年に博士号を取得しております。卒業後は、住友化学株式会社のアグロ&ライフソリューション研究所(プロセス化学グループ)にて農薬の工業的製法研究を2年間行ったのち、現職に着任いたしました。
私は熊本大学在籍時より、低分子有機化合物が高度かつ複雑な生命現象を精緻に制御する点に魅了され、生物活性を持ちうる有機化合物を対象に研究に取り組んでまいりました。中でも、自然界から見出される天然有機化合物(天然物)は、複雑な三次元構造を有するものが多く、その構造多様性に裏付けられる様々な生物活性を示すことが多いため、非常に興味深い化合物群であります。また、既存の医薬品の約半数が天然物を起源として開発されていることからも、天然物を基盤とする医薬品開発は極めて重要であると認識しております。一方で、有望な天然物であっても、自然界から得られる量が限られている場合が多く、医薬品開発へと展開するには有機化学的手法による合成と供給が不可欠です。このような背景のもと、大学院在籍時は、安価に入手可能な化合物から天然物を合成する全合成研究に従事してまいりました。新たに着任いたしましたシン・分子社会学分野におきましては、これまでに培った有機合成の知識と技術を活かし、有望な生物活性を有する微生物由来天然物の全合成と、構造活性相関研究および標的タンパク質の同定等を行い、新規医薬品の創製を目指してまいります。
大学卒業後まだ日が浅いものの、これまでに培ってきた有機合成の知見、ならびに企業の研究員として得た実務的視点を、教育・研究を通じて学生の皆さまに還元してまいりたいと考えております。また、多分野の連携がより一層求められる薬学研究科におきましては、自身の専門にとどまることなく、生物系をはじめとする関連分野についても積極的に研鑽を重ねてまいる所存です。今後とも、皆様方のご指導ご鞭撻を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。