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岸本准教授が着任しました(シン・分子社会学分野)

2026年4月1日付で薬学研究科の寄附講座シン・分子社会学分野の准教授に着任いたしました岸本真治(きしもとしんじ)と申します。私は2015年に本学の薬学研究科で博士号を取得し、静岡県立大学薬学部にて特任助教として研究に従事したのち、助教・講師として研究と学生の指導に取り組んできました。
私の研究対象は学生時代から一貫して、微生物が生産する「天然物」と呼ばれる低分子化合物です。天然物は多彩な生物活性を示し、ペニシリン、ロバスタチンなど薬になった例も多く知られています。京都大学在学中には、有用な生物活性を有する天然物の探索、新規化合物の生物活性評価、さらに全合成および構造活性相関研究に取り組みました。一方、静岡県立大学赴任後は、機能未知の天然物生合成酵素の結晶構造解析、基質合成、in vitro反応解析を組み合わせることにより酵素機能の詳細な解明を達成することで、ゲノムマイニングによる新規天然物探索の基盤構築を進めてきました。さらに学生を指導する立場となってからは、これまで未開拓であった病原性真菌の二次代謝研究へと展開し、独自の生合成機構を介して産生される新規天然物を多数発見してきました。
しかしながら、これまでに見出した新規天然物の多くは生物活性の解明にまでは至っていません。実際、天然物の中には生物活性が不明なものが多数存在しています。一方で生物進化の観点からは、天然物は微生物の生存競争や環境適応において何らかの機能を担っている可能性が高いと考えられます。
このような背景を踏まえ、本寄附講座では天然物生合成遺伝子クラスターと生産化合物の進化解析を基盤とし、生産される天然物の生物活性や生態学的役割を予測する新たな手法の確立を目指しています。これにより、従来のランダムスクリーニングやケミカルスクリーニングに依存しない新しい天然物探索研究や、さらにその先の創薬研究への展開を目指します。
寄附講座という性質上、関わることのできる学生に限りはありますが、ともに新しい研究に挑むことで主体的に試行錯誤し課題を解決できる人材を育成したいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。