山岡基金活動報告書 Part5

山岡奨学金 活動報告書

博士課程2年次 平田 剛

学術集会の概要

The SKO Symposiumは、ソウル国立大学、京都大学、大阪大学の薬学部、薬学研究科に所属する学生が英語での研究発表及び議論を実践すると共に、それぞれの大学間の交流を促進することを目的に開催される研究集会である。今年の第12回は韓国のソウル国立大学で行われ、32人の学生が口頭発表を行った。

発表の概要と質疑応答

私は炎症の治療に有効とされる間葉系幹細胞に対する、炎症部位への集積向上を目指した低分子抗体修飾について発表した。細胞上にアルキン糖を用いてアルキニル基を導入し、抗体の抗原結合部位の反対側となるC末端に遺伝子工学的手法によりアジド基を導入して、その一点でのみ官能基特異的に共有結合を形成させることで、抗原結合部位が細胞膜の外側に向いた状態での修飾を可能にした。そして、その手法により抗原選択的な細胞接着の向上に成功した。
今回の発表に対し、学会期間を通して以下の質疑を受けた。まず、修飾の反応で用いる銅触媒の細胞毒性を質問され、細胞の代謝や取り込みが低下する低温で行うことで毒性を軽減し、空試験と比較しても毒性が生じていないと回答した。次に、細胞側にアルキニル基、抗体側にアジド基としていて逆にしなかった理由を尋ねられ、アルキン糖の方がアジド糖よりも細胞への取り込み効率が高いためと回答した。最後に、CAR-T細胞のような遺伝子導入による抗体修飾と比較した本手法のメリットについて、簡便な操作で短期間のうちに修飾が可能である点を答えた。

今回の学術集会で得た経験・成果

本学会は私にとって2回目の英語の研究発表会であったが、今回で初めて、英語の口頭発表に対してその場で質問をして議論を交わすという経験ができた。殺細胞作用を持ったカビ抽出ペプチド類似物質について、配列最適化を行って抗がん剤としての有効性を向上させた発表に対して、まず想定される作用機序を聞いた。そしてその物質が細胞膜に穴を開けて作用するという回答を踏まえ、さらに変更したアミノ酸の脂溶性と効果向上に相関はありそうか質問した。一言聞いて回答を得て終わりではなく、回答を受けてさらに議論を深めることができ、自分の科学的な議論を行う英語能力の向上が実感できた。

 

 

 

 

 

 

謝辞

この度は国際学会での発表のための助成をいただき、誠にありがとうございました。今回得た経験を今後の自分の研究に活かしていきたいと考えております。