山岡基金活動報告書 Part1

山岡清・由美子 若手研究者育成奨学金 報告書

申請者氏名 大鳥 祐矢
身分 薬学研究科・薬科学専攻・博士後期課程1 年
活動目的 Gordon Research Conference への参加・発表とドイツの2研究機関への訪問を通した学術的な交流
活動期間 2025 年 5 月 30 日 ~ 2025 年 6 月 13 日
活動地域 スペイン・ドイツ
報告内容

まず初めに、山岡清・由美子 若手研究者育成奨学金に心より感謝申し上げます。報告者は、「スペイン・バルセロナで開催されたGordon Research Seminar(GRS)およびGordon Research Conference(GRC)に参加し、研究発表を行うこと」と「ドイツのMax-Delbrück-Centrum für Molekulare Medizin(MDC)(ベルリン)およびMax Planck Institute of Biophysics(MPI)(フランクフルト)を訪問し、学術的な交流を行うこと」を目的として渡航いたしました。報告者の研究テーマは、心筋型リアノジン受容体(RyR2)の立体構造解析であり、特にクライオ電子顕微鏡を用いた構造解析に取り組んでおります。GRC はこの分野の世界的研究者が一堂に会する国際会議であり、参加者全員が同じホテルに滞在し集中的に議論を行うのが特徴です。一方、GRS は報告者と同世代の若手研究者が集まり意見を交わす国際会議で、報告者はGRSで口頭発表を、GRC ではポスター発表を行いました。GRC 終了後は、ドイツの2 研究機関を訪問しました。まず、MDC ではMisha Kudryashev 教授および研究室のメンバーとディスカッションを行いました。
Kudryashev 教授はクライオ電子顕微鏡を用いた電子線トモグラフィーによる膜タンパク質構造解析に深い知見を有しておられます。次に、MPI ではBonnie Murphy 教授の研究室を訪問し、研究設備の見学と研究室メンバーとのディスカッションを行いました。Murphy 教授もクライオ電子顕微鏡に精通し、Electron Energy Loss Spectroscopy(EELS)による元素分析も手掛けておられ、特にタンパク質中の金属イオン同定において第一人者です。
今回の渡航で得られた成果として、まず、GRS では同世代の研究者と活発な意見交換ができ、研究内容を深く掘り下げたディスカッションができました。学会中以外の交流を通じて国際的ネットワークを構築できたことも大きな成果です。GRC でのポスター発表では、分野をリードする研究者と意見を交わし、得られたフィードバックは現在執筆中の論文に大変参考となりました。幸運にも、今回の発表は高く評価され、GRC でポスター賞を受賞することができました。また、自身の発表以外にも、GRC/GRS の両方で海外の研究者たちの最新の研究内容を知ることができ、分野の世界的な動向についても知ることができました。ドイツの研究機関訪問では、GRC やGRS とは異なる国際的な学術交流が実現し、MDC では報告者と同様のリアノジン受容体(RyR)の構造解析を行うKudryashev 教授の研究室と詳細なディスカッションができました。特に電子線トモグラフィーによるRyR 構造解析に関する実験手法について、試料調製からデータ解析までの具体的な知見を得ることができました。Murphy 教授の研究室では、EELS を用いたタンパク質中の金属イオン分布の可視化技術について学び、最新研究施設の見学や成果の紹介を受け、自身の将来の研究に利用する際のイメージがより明確になりました。
今後の展望として、これからも国際学会への積極的な参加を継続し、GRC/GRS で築いたネットワークをさらに広げていきたいと考えております。また、学会でいただいた貴重な意見をもとに論文を改善し、一流学術誌への投稿を目指してまいります。さらに、今回訪問したドイツの研究機関とも継続的に連絡を取り合い、学術的な交流を図っていきたいと考えております。