大学院薬学研究科では、故藤多哲朗先生（京都大学名誉教授）およびご家族によるご寄付と先生のご遺志に基づき、薬学研究者を志す博士課程学生への経済支援を目的に「藤多仁生奨学金」を創設しました。博士課程で学ぶ学生のための環境整備を一層推進するため、年間1,500万円規模の給付型奨学金を10年にわたって継続する予定です。
藤多先生は、京都大学薬学部教授時代に冬虫夏草とよばれる菌類から免疫抑制作用を示す物質を発見されました。その後、京大、台糖（現三井製糖）、吉富製薬（現田辺三菱製薬）との産学連携研究により、多発性硬化症の世界初の経口治療薬となるフィンゴリモド（商品名：ジレニア、イムセラ）を開発されました。この薬は世界中の多発性硬化症に苦しむ患者の福音となっています。ありし日の先生は、創薬を目指す若い学生の養成が大事であり、人と協力して知恵と技術を出し合いながら行う研究が重要であると常に強調されていました。
藤多先生の薬学研究に対する情熱を承継できるような、優れた研究計画を提案した25名の薬学研究科の博士後期課程・博士課程の学生を第一回奨学生として選考し、7月30日に時計台記念館にて贈呈式を行いました。
贈呈式の様子（加藤博章 薬学研究科長と奨学生代表2名）