松﨑勝巳先生には、2025年3月31日をもって退職されることになりました。先生は1982年に京都大学薬学部をご卒業になり、1984年に薬学研究科の修士課程を修了された後、武田薬品工業株式会社に入社されました。その後、1987年から同大学薬学部・助手にご就任になり、1992年に京都大学博士(薬学)を取得されました。1993年から10ヶ月間スイス・バーゼル大学に文部省在外研究員として留学され、1997年に同大学大学院薬学研究科・助教授、1999年に同大学大学院生命科学研究科・助教授をご歴任の後、2003年に同大学大学院薬学研究科・教授に昇任されました。以来20年以上にわたり、薬品機能解析学分野を主宰され、薬学部・薬学研究科の教育および研究の両面において、多大な功績を挙げてこられました。
先生は生物物理化学をご専門として、膜における動的分子間相互作用の基礎研究と創薬への応用研究を展開されました。膜作動性抗菌性ペプチドの作用機構の解明において、“The Shai-Matsuzaki-Huang model”とよばれる新規メカニズムを世界に先駆けて発見し、基礎モデル構築に多大な学術貢献をされ、1992年に第1回日本薬学会近畿支部奨励賞、1996年に第1回日本ペプチド学会奨励賞、1997年に日本薬学会奨励賞を受賞されました。また、アルツハイマー病アミロイドβタンパク質の神経細胞上での凝集・毒性発現機構を解明され、2011年にエルウィン・フォン・ベルツ賞1等賞を受賞されました。膜タンパク質研究については、分光学に基づく構造形成原理解明、生細胞イメージングや新規可溶化剤の開発など、世界をリードする先駆的な研究にご尽力されました。これらの研究成果は、合わせて190以上の原著論文、総説、単行本として発表され、2021年に日本薬学会賞、2022年に日本ペプチド学会・学会賞を受賞されるとともに、ゴードン会議をはじめ数多くの国際会議で招待講演依頼を受けるなど、国内外において高く評価されておられます。
先生は教育研究に加えて、学会運営においても大きな力を発揮され、日本薬学会理事・物理系薬学部会長、日本ペプチド学会理事・監事を務められ、物性物理化学研究会を主宰されるなど、広範な領域の学会において要職をお務めになり、専門学会の発展に貢献されました。また、Biochimica et Biophysica Acta–Biomembranes, Journal of Peptide Science, European Biophysics JournalでEditorもご兼任され、国内外の学術発展に貢献をされてこられました。さらに、京都大学においては教育研究評議員、薬学研究科においては薬科学科長などを兼務される傍ら、大学評価・学位授与機構、大学基準協会での大学評価にもご尽力されました。「新しい薬をどう創るか」、「くすりをつくる研究者の仕事」の刊行にも尽力され、薬学の啓蒙と薬学研究科の知名度向上に貢献されました。
このたび先生のご退職にあたり、下記のように退職記念行事を執り行いますので、皆様、多数ご参加くださいますようお願い申し上げます。
最終講義
題 目 : | 「膜研究に魅せられて」 |
日 時 : | 2025年3月8日(土)13時00分〜14時30分
(受付12時30分〜・事前申込不要) ※最終講義終了後、医薬系総合研究棟アウトリーチエリアにて懇親会(会費2000円、事前申込必要)を開催します。 登録サイト(GOOGLE フォームに記入)にて 2025年2月20日(木)までにお申し込みをお願い致します。 |
場 所 : | 京都大学薬学部 医薬系総合研究棟 藤多記念ホール |
お問合せ先
松﨑 勝巳 教授 退職記念事業会 |
実行委員長 竹本 佳司 |
連絡先 河野 健一 |
〒606-8501 京都市左京区吉田下阿達町46-29 |
京都大学大学院薬学研究科 |
電話:075-753-4529 FAX:075-753-4578 |
Email:kawano.kenichi.2u@kyoto-u.ac.jp |