令和8年3月23日に薬学研究科長賞の授与式が執り行われました。受賞者には賞状と副賞の図書カードが贈られました。以下に8名の受賞者のコメントを掲載します。

優秀発表賞受賞者のコメント
区分1(修士相当)
長谷川 拓真さんのコメント
この度は研究科長賞を賜り、大変光栄に存じます。本研究では、低分子放射性薬剤への分子修飾による体内動態制御手法の開発に取り組んでまいりました。受賞にあたり、日頃より熱心にご指導してくださった小野先生、渡邊先生、中島先生をはじめ、日常的に議論を交わし支えてくれた研究室の仲間に心より感謝申し上げます。振り返れば、研究活動においては大きな成果を急ぐのではなく、小さな目標をマイルストーンとして設定し、ひとつひとつの実験を積み重ねることを意識していました。このような継続力を大切にしたことが、学術論文や学会発表での一貫した成果に繋がったと感じています。後輩の皆さんも、日々の小さな進歩を大切に、粘り強く研究を楽しんでください。今回の受賞を大きな糧とし、今後は多彩なモダリティに応用可能な体内動態制御手法の開発を目指して、より一層研究に精進していく所存です。

栁澤 和希さんのコメント
この度は、研究科⻑賞という⼤変名誉ある賞を頂戴し、誠に光栄に存じます。配属以来、次々に現れる新たな課題に翻弄され続けるだけの3年でしたので今回の受賞は本当に驚きでしたが、同時に⾮常に嬉しく感じております。私は放線菌の潜在的な⼆次代謝産物産⽣能をミコール酸含有細菌との共培養で引き出す複合培養法の研究に取り組んでおり、研究遂⾏のためには広範な⾒識が求められます。賞をいただけるような研究を⾏えているのは、思いがけない視点からご指導くださる先⽣⽅、親⾝に相談に乗ってくださる先輩⽅、雑⽤もご飯も実験も共に⾏ってきた同期、私などより余程優秀な後輩達に、助⾔をいただき、⽀えていただいてきたからに他なりません。⼼より感謝申し上げます。今後は本受賞を励みに、今まで以上に研究に⼒を⼊れ、洞察⼒や⼿技の向上に努めてまいります。

城戸 明日香さんのコメント
このたびはこのような栄誉ある賞を賜り、⼤変光栄に存じます。井垣達吏教授、⾕⼝喜⼀郎講師をはじめとする井垣研究室の皆様のご⽀援により、5年半にわたり研究を継続することができました。また、本研究を評価してくださった選考委員の先⽣⽅にも厚く御礼申し上げます。
本研究では、異なる性質の細胞が隣接した際に細胞間相互作⽤を介して不適な細胞が排除される現象である「細胞競合」に着⽬しました。本現象における細胞間コミュニケーションとシグナルの時空間動態を可視化するライブイメージング系を確⽴しました。この系を⽤いて、敗者細胞の認識機構として、タンパク合成能が低下した細胞ではギャップ結合を介したカルシウムシグナルの上昇が重要であることを⾒出しました。さらに、前がん細胞モデルにおける敗者特異的なTNF活性化機構の解明にも取り組んでおります。これらの成果は、多細胞⽣命システムの根幹をなす細胞間相互作⽤の理解を前進させ、多細胞⽣命体の維持や最適化という根源的問いに迫るものです。今後も本受賞を励みに、研究を⼀層発展させてまいります。

堀 遥音さんのコメント
この度は研究科⻑賞を賜り、⼤変光栄に存じます。配属されてからの3年間で、所属する⽣体機能解析学分野を取り巻く環境は⼤きく変化しました。その中で、研究活動に専念できる環境は決して当たり前のものではなく、多くの⽅々の⽀えによって成り⽴っていることを改めて実感致しました。⽇頃より温かくご指導くださった先⽣⽅、ラボの皆さま、そして学修‧研究環境を⽀えてくださったすべての⽅々に、この場をお借りして⼼より御礼申し上げます。私はセロトニン神経の活動記録と解析を通じて、うつ病や抗うつ薬が及ぼす影響の解明に取り組み、その成果として論⽂執筆や学会発表の機会を得ることができました。これらの経験を通じて研究の⾯⽩さと難しさの双⽅を学ぶことができたと感じています。今後は医学研究科の博⼠課程に進学し、さらなる研鑽を積みながら研究者として成⻑し、将来的には中枢性疾患の理解と治療の発展に貢献できるよう精進してまいります。

区分2(博士相当)
西山 健太郎さんのコメント
この度は研究科長賞をいただき、誠にありがとうございます。6年間の研究をこのような形で評価していただき、非常に光栄に思います。ご指導いただきました大野先生、鎌田先生、秋葉先生、そしてともに研究に励んだ大野研究室の皆様に感謝申し上げます。
私は博士研究において、「抗原抗体複合体を反応場とした近接依存型反応の開発」に取り組み、抗原特異的に進行する発蛍光反応や薬物放出反応を実証しました。これまでの研究活動を振り返ると、抗体と低分子化合物という異なる創薬モダリティに関わる知見を行き来しながら、自分が「面白い」と感じる方向へ研究を広げられたことが、研究を楽しみながら続ける原動力となり、結果的に良い成果につながったのではないかと感じています。
今後は博士研究員として研究を続けます。新たな価値を有する分子を創出できる研究者を目指し、さらなる研鑽を積んでいきたいと考えています。

中川 優奈さんのコメント
この度は研究科⻑賞を賜り、⼤変光栄に存じます。本賞が今年度より創設された賞であることもあり、博⼠課程修了の節⽬にこのような賞をいただけたことを⼼より嬉しく存じます。これまで、細胞外⼩胞を利⽤した薬物送達技術の開発に関する研究に取り組んでまいりました。研究は思い通りに進むことの⽅が少なく、試⾏錯誤の連続でしたが、その都度⽬の前の⼀つ⼀つの課題に向き合い、実験を重ねながら研究を進めてまいりました。また、所属研究室の先⽣⽅や研究室メンバーとの議論や助⾔が、研究を前に進める⼤きな⽀えとなりました。この場をお借りして深く感謝申し上げます。これから研究に取り組む皆様にも、課題に真摯に向き合いながら、周囲と議論を重ねて研究を楽しんでいただければ幸いに存じます。本賞を今後の糧とし、今後は企業で創薬研究に携わりながら、さらなる研鑽を積み、これまでの学びを社会へと還元できるように努めてまいります。

田崎 晃司さんのコメント
この度は研究科⻑賞に選出いただき、誠にありがとうございます。ここまで研究を進めることができたのは、中⼭先⽣を始めとする⽣体情報制御学分野の皆様のご指導、ならびに現所属である組織形成動⼒学分野の皆様のご⽀援の賜物と存じます。この場をお借りして感謝申し上げます。
私はこれまで、⼀次繊⽑の機能に重要なタンパク質輸送装置(IFT装置)を構成するIFT81遺伝⼦の変異が遺伝性疾患を引き起こす分⼦基盤の解明に取り組み、さらにその研究を発展させ、IFT装置が⺟中⼼⼩体に集合する分⼦機構の研究を⾏いました。これらの研究過程で、⼀つ⼀つのデータを丁寧に⾒返すことの重要性を実感しました。当初は些細に⾒えた実験結果が、後に新たな研究のきっかけや⼤きな発⾒につながるかもしれません。このような「棚から落ちたボタ餅を確実に拾う」という中⼭先⽣の教えが、今回の研究成果に結びついたのだと改めて感じております。
研究者としての旅路はまだ始まったばかりですので、今後も⽴派な研究者になれるよう邁進してまいります。

横井 茉里さんのコメント
この度は薬学研究科⻑賞という栄誉ある賞を賜り、⼤変光栄に存じます。
研究の遂⾏にあたり、根気強くご指導賜りました医療薬剤学分野、医学研究科附属がん免疫総合研究センターの先⽣⽅に厚く御礼申し上げます。また、薬学研究科、医学部附属病院薬剤部、各診療科の多くの先⽣⽅にご協⼒賜り⼼から感謝申し上げます。
本研究では、免疫チェックポイント阻害薬誘発性肺障害について、発症機序解明と重症化関連因⼦の探索を⾏いました。博⼠課程ではReverse translational researchを通じて、既存の枠にとらわれず⾃ら⼀歩踏み出すことの重要性を学び、研究者間の連携や課題解決に向けた応⽤⼒を養うことができました。
今後は⾃⽴した研究者を⽬指し、本研究で得た経験を礎として、研究成果を臨床現場へ還元するため、副作⽤の予測‧診断‧治療法の開発に⼀層邁進してまいります。この度は誠にありがとうございました。
