薬学部の教育

創薬科学研究者と高度な医療を支える薬剤師を育てる

薬学は疾患の治癒、健康の増進をもたらす医薬品の創成、生産、使用を目的とした総合科学です。薬学の基礎は物理学、化学、生物学です。これらの基礎科学の統合と応用により、薬学の教育・研究を発展させます。最近の医療技術の進歩と高齢化社会の問題等により、薬学に求められる社会的意義の重要性はますます増大しております。医薬品の研究開発や適正使用は人の健康や生命に関わるものです。薬学に携わる人間は単に学問的素養のみならず、高い社会性、道徳性が求められます。京都大学薬学部は4年制の総合薬学科で創薬科学、医療薬学の研究者、技術者の養成を目指してきました。平成18年度より京都大学薬学部は創薬科学研究者、技術者養成を目指す4年制の薬科学科と、高度な医療を支える薬剤師、医療薬学研究者、技術者の養成を目指す6年制の薬学科の2学科で構成されています。

1~2回生(薬科学科、薬学科共通):全学共通科目を中心にした履修と専門教育への準備

1回生では教養・自然系基礎科目からなる全学共通科目と基礎専門教育科目を履修します。これらの科目は幅広い学問に接して高い教養を身につけるとともに、専門科目を学ぶための基礎学力、思考力を身につけることを目的としています。全学共通科目は人文・社会系科目、自然系科目、外国語科目からなっています。さらに、専門基礎教育科目として薬学倫理・概論、薬学生物学、薬学物理化学、基礎有機化学なども履修します。2回生では、全学共通科目と専門基礎教育科目として科学英語を履修するとともに、専門教育の科目も履修します。

ポケットゼミ

写真:ポケットゼミの授業風景1

くすりと化学の授業風景

ポケット・ゼミ(新入生向け少人数セミナー)は、入学直後の新入生の希望者を対象に、10人程度の少人数単位で各学部・研究科・研究所・センター等の教員がFace to Face(フェイス・トゥ・フェイス)の親密な人間関係の中で様々な形態の授業を行うユニークな全学共通科目です。薬学部からは、下記のような科目を提供しています。(開講科目は年度によって異なります。)

ポケット・ゼミ紹介ページ
http://www.z.k.kyoto-u.ac.jp/pocket.cgi

科目
  • くすりと化学
  • 創薬における物理系薬学
  • 薬つくりにおける生命科学の役割

    写真:ポケットゼミの授業風景2

    薬と医療の授業風景

  • 薬と医療

3回生(薬科学科、薬学科共通):専門科目の講義と実習

写真:実習の様子

3回生では薬学の専門知識・実験技術を学ぶための専門教育科目を中心とした科目を履修します。大学院教育に結びつく高度な専門知識を学ぶ研究基盤教育科目も一部入ってきます。主として午前中は講義、午後は専門実習を行います。実習は全て必修科目で薬学の全ての専門分野に関する実験技術を習得します。

4回生(薬科学科):専門科目の講義と実習

4回生では主として特別実習を行います。特別実習はほぼ1年にわたって行われます。特別実習では希望する研究室に配属し、教員の指導、助言を受けながら、特定の専門領域の新しいテーマの研究に取り組みます。特別実習は薬学研究の現状を知り、将来の進路を考える上でも重要なものです。

4回生(薬学科):専門科目の講義と実習

模擬薬局での実務実習事前学習風景

4回生前期では主として午前中は講義、午後は医療薬学ワークショップを行い、医療薬学分野全体の研究領域について学びます。4回生後期から特別実習が行われます。特別実習は6回生まで行われます。特別実習では希望する研究室に配属し、教員の指導、助言を受けながら、医療薬学を中心とした種々の領域の新しいテーマの研究に取り組みます。特別実習は医療薬学研究の現状を知り、将来の進路を考える上でも重要なものです。5回生では特別実習に加えて、医療における薬剤師の役割と職能を理解し、薬剤業務等を学ぶため、京都大学医学部附属病院薬剤部と学外の調剤薬局で5ヶ月間の実務実習を行います。