薬学国際研究交流 part3

ホモアリル化反応の天然物合成への応用

薬学研究科 薬品分子化学分野

修士課程 1回生 安井 基博

 

私は2015年1月初旬から1ヶ月間、アメリカBrandeis ie-2015-part3大学のdepartment of chemistry, Isaac J. Krauss 研究室で短期留学させていただきました。

Isaac研には大きく分けて2つのプロジェクトがあります。そのうちの1つはHIVワクチン開発を志向した、HIVタンパクgp120を模倣した広域中和抗体2G12結合タンパクの合成プロジェクト。もう1つはボロン酸エステルを基質とする有機反応開発プロジェクトです。私は後者のプロジェクトに参加しました。

参加したプロジェクトは所属研究室で行ってきた分野と重なる部分が多くあったためか、初日からすんなり実験に参加することができました。しかし、日本と大きく異なったのはやはり、英語でのコミュニケーションです。使う装置のオリエンテーションや研究についてのディスカッションはもちろん英語。正直なところ、かなり苦戦しました。安全講習の簡単な問いですら、沢山間違えました。それでもIsaac先生や研究室のメンバーがよくしてくれたおかげでなんとかやっていけました。Isaac研は10人程度の人数でありながら、日本人が1人、中国人が2人、ベトナム人が1人いて、かなり多国籍な研究室でした。彼らの母国語は英語ではありません。昨今のグローバル社会を肌で感じ、英語でのコミュニケーション能力の必要性を強く感じました。

また一方で、日本でやってきたことも確実に活きるのだと実感しました。英語でのコミュニケーションは間違いなく重要ですが、日本で学んだ基礎知識や実験スキルは外の研究室に行っても、それが海外であっても有用でした。Isaac研にある装置で私の所属研究室にないものがある一方で、その逆もありました。Isaac研で実験しているうちに、いかに自分が今まで恵まれた環境下で研究させてもらっていたかという点にも気づけました。

アメリカと日本では大学院のシステムも異なるため、研究への姿勢が違うような印象も受けました。大学院生は研究室のPI(principal investigator)から給料をもらって研究しています。そのためか、程度に差はあれ、研究に対する姿勢が日本のそれとどこか違うような印象を受けました。Isaac研にはNMRを管理することで給料をもらいながら大学院生をしている学生がいて、私は様々な種類のNMR測定を行うにあたり、彼に毎回聞いていました。普通なら断られるくらい何度も聞いたのですが、「仕事としてやっているから当然だ」と快く教えてくれました。このようなシステムの違いもアメリカならではだと感じました。

今回の短期留学で、新たな発見がたくさんありました。そして今までの研究室生活を見直すきっかけにもなりました。今回の留学経験を活かし、自分の研究へと繋げていきたいです。