MaxPlanck Instituteへの短期留学
薬学研究科 生理活性制御学分野
博士課程 3回生 岡原 京平
このたびは、京都大学薬学研究科 国際研究交流大学院生支援事業による支援を受けてドイツMax Planck Instituteへの短期留学に行ってきました。
私の滞在したMax Planck Institute of Colloids and Interfacesでは、糖鎖の自動合成や糖鎖ワクチンの開発、レクチンを中心とした免疫反応などについて研究が行われています。私はこの中で、C-typeレクチンasialo glycoprotein receptor(ASGPR)の新規リガンドを探索するためASGPRを動物組織から精製し、化学合成によって新規に合成した様々な糖鎖リガンドとの結合強度を測定するプロジェクトに参加しました。この研究室では動物組織からのタンパク精製を行った経験がなく、私はその系の立ち上げに取り組みました。しかし、かくいう私自身もタンパク精製の経験は全くなく、日本の指導教員にも助言を頂きつつドイツの研究室メンバーとともに試行錯誤しました。ここでは日本の研究室に比べて特に設備が充実しているわけでもなく、日本ではできない最先端の技術を学んだというわけでもありませんでしたが、私自身にとっては外国で新しいことに取り組むという体験ができたこと自体に意味があったと思っています。
今回の留学で学んだ最も大きなものは、「外国で暮らすのは特別なことではない」ということだと思います。実際には、今回が初めての海外渡航であった私にとって買い物の仕方、電車の乗り方、道の歩き方、人とのコミュニケーションの取り方などあらゆることが日本でのやり方と違っており、驚きでした。そのうえ私はドイツ語を学んだことがなく、滞在期間中も簡単な挨拶以外は英語で会話せざるを得ませんでした(ベルリンでは英語を話せる人が比較的多いのですが、私のゲストハウスがあったポツダムではあまり英語が通じず困ることも多々ありました)。また、今回は研究所でゲストハウスを用意してもらうことができましたが、外国人が自分で住居を得るのは簡単ではないとも聞きます。このような困難は確かにありますが、それでもドイツでの振る舞い方を学んでしまえばそれはすぐに日常となり、日本での暮らしと変わらない日々が過ぎてゆきました(もちろんドイツ語ができなければドイツ人の会話が分からないので、もしまたドイツに住むことがあればドイツ語をマスターしていきたいと思います)。もっともドイツは世界第4位の経済大国であり、また社会構造が比較的日本と似ているということなので、ほかの国ではまた違った感想を抱いたのかもしれません。
私は今後日本で暮らし続けるのか、外国に行って暮らすことになるのか現時点ではわかりませんが、「外国人」として暮らしたこの3か月間での体験を生かし、日本人としていかに生きるか考えていきたいと思います。