薬学国際研究交流 part4

抗腫瘍活性を持つヒガンバナ科アルカロイドの立体多様合成

薬学研究科 薬品合成化学分野

博士後期課程 2回生 姜 法雄

 

この度、私は京都大学薬学研究科 国際研究交流大学院ie-2015-part4生支援事業のご支援を賜りまして、2014年12月14日から17日の4日間に渡りNational University of Singapore (NUS) にて催された国際会議8th Singapore International Chemistry Conference 2014 (SICC-8) に参加し、私もポスターにて研究発表を行いました。SICCはNUSの化学科が主催する隔年開催の国際会議で、有機化学や無機化学、超分子科学、生物有機化学などの幅広い分野に関する最新の研究について議論し、それにより化学の発展を促進することを目的としています。私は所属研究室において有機触媒を用いる研究に従事していますが、今回の国際会議参加により、有機触媒はもちろんですが遷移金属触媒や錯体化学など幅広い分野に触れ、異なる視点を持つことを目的に本支援事業に申請し、幸い渡航する機会を頂きました。SICCには日本からも著名な先生方が参加された他、Benjamin List先生、Amir H. Hoveyda先生、Brian M. Stoltz先生等の世界的に著名な研究者による6件の特別講演、16件の基調講演、135件の招待講演と口頭発表、183件のポスター発表が行われました。印象深い講演は数多くここに挙げるときりがないので、一部報告させてさせていただきます。Stoltz先生は遷移金属触媒を用いる反応開発および天然物合成をなさっており、興味深い講演をして頂きました。反応のメカニズムについて質問したところ私の辿々しい英語にも意図を汲み取って、丁寧に説明して下さり大変勉強になりました。自分がスムーズに自分の言いたいことを英語で伝えられなかったことが悔しくもありました。世界の研究者と意思疎通を図るには英語の習得は必須なのは当然のことですが、自分はこの点で未熟であることを痛感しました。今回の経験は、留学を希望する私にとって大きな意味があったと思います。また金城玲先生の講演にも感銘を受けました。金城先生は現在Nanyang Technological Universityで単身、研究室を運営し独創的な研究を行っておられます。発表は自信に満ちており堂々とした姿は魅力的でした。講演後先生に、研究を行う上で日本とシンガポールの違いをお聞きすると、シンガポールは湿度が非常に高いために湿気で壊れやすい試薬はまず用いることが出来ないそうです。そのような制約がある中でも独創的な研究を行えることは、一人の化学を学ぶ学生として刺激を受けるばかりでした。また、ポスター発表は2日間に分かれて行われ、各1時間という短い時間でしたが、多くの研究者と議論や意見交換をすることが出来ました。特に同世代の学生との議論はとても刺激になりました。3日目の夜には市内中心部にあるOrchard Hotelでバンケットが開かれ、NUSの大学院生と楽しく食事しながら、互いの文化や食べ物の話で盛り上がりました。今回初めて海外の国際会議で研究発表することができ大変貴重な経験となりました。この経験は、今後の研究生活にきっと役立つと思います。この度は、渡航の機会を与えてくださった貴プログラムと所属研究室の先生方に深謝致します。