薬学国際研究交流 part3

University of Massachusetts Medical Schoolへの短期留学

薬学研究科 システムバイオロジー分野

博士課程 2回生 鈴木 暢

 

この度私は、京都大学薬学研究科 国際研究交流大IEpart3学院生支援事業による支援を受け、米国のUniversity of Massachusetts Medical School (UMMS)へ短期留学してきました (2014年1月9日~2014年3月20日)。

私はUMMSのWilliam Schwartz先生の研究室に滞在し、約70日間にわたり概日時計にかかわる研究に従事してきました。まず苦労したことは動物実験に関わる書類作成です。数年研究室に滞在するのであればもう少し余裕があったのかもしれませんが、研究室到着後1週間後には動物実験を始める必要があり、動物取り扱いに関するテストを受け、諸々の書類を数日間で作成するのは非常に根気のいる作業でした。動物の手術一つをとっても、流儀がかなり異なり、日本よりもより動物に対する扱いが細かく丁寧な印象でした。また、この研究室でin situ hybridizationの実験を教えることになり、その準備も苦労したことの一つです。研究室には実験が行えるすべての実験機材が揃っているわけではなく、他の研究室に出向いて実験を行うということもしばしばありました。日本の研究室では既にプロトコルが確立され、機材もすべて揃っている中で実験を行っていたので、それ程準備に苦を感じることはありませんでしたが、一からそこの研究室に適した形で系を立ち上げることは想像以上に難しく、実験に対する自分自身の理解度の不十分さを認識することができ、非常に良い経験になりました。

米国滞在中に最も感じたことは、第二言語である英語でのコミュニケーションは想像以上に難しいということでした。米国は「人種のるつぼ」という言葉が象徴するように実に多民族が混在する地です。実際私自身も様々な国籍の方々と話す必要がありました。大学には寮が無く、掲示板でシェアハウスを探し生活しなければなりませんでした。掲示板には基本的にルームメイトの国籍、年齢、性別等は書かないことになっています。私はドイツ人、中国人、グアテマラ人、日本人と生活していました。偶然ルームメイトは英語を母国語とする人がおらず、実に色々な英語を聞くことができました。私にとって聞き取りやすい英語を話す人もいましたが、結局何を話しているのか単語すら聞き取れない人もいました。(私自身英語は堪能ではないので、私に対して同じようなことを感じていた方もいたとは思いますが。)そうなるとどうしても英語を話すこと、聞くことに集中しすぎてしまう傾向にありました。英語を話すことに一生懸命になりすぎると、日本語でコミュニケーションをとっていたときには当たり前のようにこなせていた仕事ができなくなる、普段なら気づけている細部に気付くことができなくなるといった問題が発生し、自身のパフォーマンスを低下させないためにも英語能力の更なる向上の必要性を痛感しました。

最後に、得られた貴重な経験を今後の研究生活に活かせるよう努めるとともに、研究交流の機会を与えていただいたことに深く感謝申し上げます。